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虚血性神経細胞死におけるカルシニューリンの役割
著者: 内野博之1 石井脩夫1 芝崎太2
所属機関: 1東京医科大学八王子医療センター麻酔科 2(財)東京都医学研究機構東京都臨床医学総合研究所
ページ範囲:P.681 - P.689
文献購入ページに移動カルシニューリンはカルモジュリン(CaM)dependent cyclic phosphodiesteraseのinhibitorとしてWangら1)によって1976年に発見された.その後,この酵素が注目を浴びた理由としては,この酵素が免疫抑制剤の1つであるサイクロスポリン(cyclosporine A;CsA)およびFK506のターゲットであることが報告され2),T細胞活性化に伴う免疫機構制御に不可欠な酵素としてその役割が重要視されてきたためである.その後,Ca2+/CaM依存性のセリン/スレオニン脱リン酸化酵素2Bとして脳内全蛋白量の1%も存在する酵素であることがわかり神経細胞内での多様な役割が期待されてきた.
これまでの精力的な機能解析により,この酵素がシナプス可塑性の調節,シナプス伝達を介した学習や記憶の制御,NMDA(N-methyl-d-aspartate)受容体の脱リン酸化に伴う脱感作,IP3受容体のCa2+流入抑制,nNOS(neuronal nitric oxide synthetase)を介する神経細胞死誘導などに関与する報告3,4)がなされ,この酵素の担う多彩かつ重要な機能が脳においても脚光を浴びつつある.
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