文献詳細
研究
O型赤血球を利用したABO不適合同種骨髄移植後のレシピエント血清中ABH血液型物質の解析
岸野 光司1 室井 一男1,2 中木 陽子1 永嶋 貴博1,2 山本 千鶴1,2 岩本 禎彦3 小澤 敬也1,2
1自治医科大学附属病院輸血・細胞移植部 2自治医科大学附属病院血液科 3自治医科大学法医学・人類遺伝学
pp.817-821
文献概要
〔SUMMARY〕 ABO血液型不適合同種骨髄移植(BMT)を受け長期間(97~569日)経過した4例で,血清中ABH血液型物質の解析を行った.BMT後レシピエントの末梢血単核球のABO遺伝子型は,完全にドナー型に変換されることをpolymerase chain reaction with sequence specific primers(PCR-SSP)を用いて確認した.健常人のO型赤血球に,レシピエント血清中のABH血液型物質を吸着させた後,高感度の抗体吸着解離試験を用い血清中のAおよびB型物質の存在を測定した.BMT後,どの観察時点においてもレシピエント由来の血液型物質の存在が示唆された.BMT後においても,非血液細胞より分泌されるレシピエント由来のAまたはB型物質が血清中に存在し,これらの型物質がドナー由来の成熟赤血球表面に吸着する可能性が考えられた.
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