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今月の主題 プロテアーゼ,プロテアーゼインヒビター 技術解説
von Willebrand factor-cleaving protease
著者: 藤村𠮷博1
所属機関: 1奈良県立医科大学輸血部
ページ範囲:P.881 - P.886
文献購入ページに移動〔SUMMARY〕 近年,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura;TTP)発症の原因の1つとして,von Willebrand因子特異的切断酵素(von Willebrand factor-cleaving protease)/ADAMTS-13の活性低下が注目されている.すなわち,家族性TTPではADAMTS13遺伝子の異常による酵素活性の先天的欠損があり,また非家族性TTPでは後天的にこの酵素に対するインヒビターが産生されている場合が多く,しかもこのインヒビターはIgGに属する自己抗体であることが示された.すなわち後天性TTPの一部は自己免疫疾患のカテゴリーに入るとの概念が打ち立てられた.
一方,TTPに類似するも異なった病態とされている溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome;HUS)については,この酵素活性がほぼ正常で,インヒビターも存在しない.これらの結果は,後天性TTPでは血漿交換により自己抗体の除去とADAMTS-13酵素の補充療法を行いながら,他方,免疫抑制剤を投与し,自己抗体の産生を抑えることが肝要であり,一方,家族性TTPの場合には血漿の単独投与で十分であることを示唆している.すなわち,ADAMTS-13活性の測定はこれら疾患の鑑別診断に有用であるばかりではなく,治療法の選択においても必須のものと考えられる.本稿では,本酵素活性測定法の現状について述べる.〔臨床検査 47:881-886,2003〕
一方,TTPに類似するも異なった病態とされている溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome;HUS)については,この酵素活性がほぼ正常で,インヒビターも存在しない.これらの結果は,後天性TTPでは血漿交換により自己抗体の除去とADAMTS-13酵素の補充療法を行いながら,他方,免疫抑制剤を投与し,自己抗体の産生を抑えることが肝要であり,一方,家族性TTPの場合には血漿の単独投与で十分であることを示唆している.すなわち,ADAMTS-13活性の測定はこれら疾患の鑑別診断に有用であるばかりではなく,治療法の選択においても必須のものと考えられる.本稿では,本酵素活性測定法の現状について述べる.〔臨床検査 47:881-886,2003〕
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