文献詳細
文献概要
今月の主題 プロテアーゼ,プロテアーゼインヒビター 話題
歯周病と病原性プロテアーゼ
著者: 山本健二1
所属機関: 1九州大学大学院歯学研究院口腔常態制御学講座
ページ範囲:P.887 - P.892
文献購入ページに移動1. はじめに
Porphyromonas gingivalis(以下,ジンジバリス菌)は,歯周ポケットを主要な棲息部位とするグラム陰性嫌気性桿菌で,主要な歯周病原性細菌の1つとして広く認知されている.本菌は非糖分解性であるため,蛋白質分解によって得たアミノ酸をエネルギー源・栄養源として発育増殖する.そのため,本菌は必然的に多様なプロテアーゼを菌体外や菌体表面に産生分泌する1).Gingipainsは本菌が産生する主要なトリプシン様システインプロテアーゼ群で,全プロテアーゼ活性の85%以上を占める主要酵素である2,3).Gingipainsはペプチド結合切断部位の特異性からArg-gingipain(Rgp)とLys-gingipain(Kgp)の2種類に分けられている1,2).両者は多くの場合,協調的に働き,宿主に対しては病原性を,菌自身に対しては生存戦略に必要な生理活性を発揮する.したがって,両者に対する特異的インヒビターは,本菌が関与する歯周病ならびに歯周病関連疾患の新たな治療薬となる可能性を秘めている.
Porphyromonas gingivalis(以下,ジンジバリス菌)は,歯周ポケットを主要な棲息部位とするグラム陰性嫌気性桿菌で,主要な歯周病原性細菌の1つとして広く認知されている.本菌は非糖分解性であるため,蛋白質分解によって得たアミノ酸をエネルギー源・栄養源として発育増殖する.そのため,本菌は必然的に多様なプロテアーゼを菌体外や菌体表面に産生分泌する1).Gingipainsは本菌が産生する主要なトリプシン様システインプロテアーゼ群で,全プロテアーゼ活性の85%以上を占める主要酵素である2,3).Gingipainsはペプチド結合切断部位の特異性からArg-gingipain(Rgp)とLys-gingipain(Kgp)の2種類に分けられている1,2).両者は多くの場合,協調的に働き,宿主に対しては病原性を,菌自身に対しては生存戦略に必要な生理活性を発揮する.したがって,両者に対する特異的インヒビターは,本菌が関与する歯周病ならびに歯周病関連疾患の新たな治療薬となる可能性を秘めている.
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