文献詳細
文献概要
シリーズ最新医学講座・Ⅱ シグナル伝達・8
細胞極性を決定するシグナル,aPKC-PARカセット
著者: 水野恵子1 大野茂男1
所属機関: 1横浜市立大学大学院医学研究科分子細胞生物学教室
ページ範囲:P.921 - P.927
文献購入ページに移動細胞内の様々な小器官や生体物質は,細胞質や膜に均一に存在するわけではなく,空間内に片寄った局在を示す.これを細胞極性と呼んでいる1,2).細胞の極性は,細胞そのものの形や機能発現に必須である.形態形成のある時期や成体において,細胞の極性化に伴う不均等分裂が起きることが知られている.細胞の極性化は細胞固有の問題ではなく,親細胞,あるいは細胞外からの極性化シグナルを受けて正確に形成されることが必要である.細胞極性の乱れが個体の病態や形態形成の破たんを引き起こすことが知られるにつれ,細胞の極性制御のメカニズムに注目が集まっている.この数年の研究により,様々な細胞極性化の場面で進化的に保存された1つのシステムが機能していることがわかってきた.本稿では,そのaPKC-PARカセットの発見と,最近明らかになりつつある上皮細胞の極性化過程におけるaPKC-PARカセットの機能について述べたい.
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