今月の主題 感染症における危機管理
総説
強毒微生物曝露への対応
著者:
箱崎幸也1
赤沼雅彦1
桑原紀之2
所属機関:
1自衛隊中央病院消化器内科
2自衛隊中央病院保健管理センター
ページ範囲:P.19 - P.27
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〔SUMMARY〕 2001年9月米国同時多発テロ後の炭疽菌感染患者の発症で,バイオテロの脅威が現実となった.バイオテロ攻撃の多くは秘匿的であり,大きな社会的混乱が予測される.特に天然痘ウイルス・炭疽菌が,致死率が高く,エアロゾル状態で安定などの理由で最も恐れられている.バイオテロ対策は通常の感染症対策(迅速/的確なサーベイシステム,標準的予防策)の延長線上にあるが,さらにRaPiD-T(Recognition, Personal Protection, Decontamination and triage/Treatment:認知,個人防護,汚染除去とトリアージ/治療)での対応が必須である.初期患者は一般医療機関が最初に対応するが,医療機関で認知できなくとも十分に訓練された検査センターが病原体を特定できれば,バイオテロ拡大への最大の防御となる.生物剤への知識・認識を,医師・看護師だけでなく検査技師を含めた全医療従事者がもつことが,バイオテロ拡大を未然に防ぐと考えられる.〔臨床検査 48:19-27,2004〕