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文献詳細

雑誌文献

臨床検査48巻1号

2004年01月発行

文献概要

トピックス

ライム病の皮膚所見と検査診断

著者: 橋本喜夫1

所属機関: 1旭川医科大学皮膚科学

ページ範囲:P.95 - P.99

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 1.はじめに

 ライム病は起因菌のBorrelia burgdorferi sensu lato(広義B. burgdorferi:B.b.)を保有するマダニ類の媒介により生じる全身性感染症である.1977年に,米国コネチカット州ライム地方で,若年性関節リウマチ様関節炎が集団で発生し,ライム関節炎として初めて報告1)された.ライム病の原因菌であるB. burgdorferi(B.b.)はgenotypeによる分類が行われつつあり,現時点ではB. burgdorferi sensu stricto(B.b. ss)(狭義のB. burgdorferi), B. garinii, B. afzeliiの3種が記載されているが,今後も亜種が増えていく可能性がある.ライム病は現在,北米,ヨーロッパ,オーストラリア,アジアと広く分布し,北半球で毎年数万人の患者が発生している.ライム病は早期(Ⅰ,Ⅱ期),後期(Ⅲ期)に大別され,早期は慢性遊走性紅斑(erythema chronicum migrans;ECM),ボレリア性リンパ球腫,循環器症状,神経症状,関節痛などをきたし,後期には慢性萎縮性肢端皮膚炎,関節炎,慢性の神経障害などを呈する.わが国では1987年に長野で1例目が報告2)されて以来,主に北海道,本州中部以北で約200例の報告がある.わが国のライム病3,4)は,現在までのところ,媒介者はI. persulcatus(シュルツエマダニ)のみであり,皮膚症状,神経症状など早期症状でとどまる例がほとんどである.ライム病の診断はダニ刺咬の有無,ECMなどの臨床所見,抗体価測定などによるが,確定診断には患者,もしくは付着したマダニからB.b.を検出することが重要である.以下に臨床診断と検査診断について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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