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特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査 1章 動脈硬化の発症メカニズム
2. ヒト冠動脈硬化の病理・病態
著者: 平山道彦1 福島裕子1 上田真喜子1
所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科
ページ範囲:P.1189 - P.1193
文献購入ページに移動ヒト冠動脈には,加齢に伴って,プラークと呼ばれる内膜の肥厚性病変が形成される.このプラークの構成成分は多様であり,線維成分に富む線維性プラークから,脂質成分に富み線維成分の乏しいlipid-lichプラークまで様々な性質を有するプラークが存在している.プラークにおいて重要なことは,その肥厚度よりもむしろ安定か不安定かといった性質である.これまでの研究から,冠動脈プラークが何らかの要因で「不安定プラーク(unstable plaque)」に変化することが明らかにされており,この現象はプラークの「不安定化(destabilization)」と呼ばれている.このような不安定なプラークにみられるプラーク破裂(plaque rupture)やプラークびらん(plaque erosion)とそれに伴う内腔での血栓形成は急性心筋梗塞,不安定狭心症,心臓虚血性突然死などのいわゆる急性冠症候群(acute coronary syndrome)の主たる原因と考えられている.
本稿では,ヒト冠動脈プラークの進展・不安定化の要因について,われわれの研究データも交えながら概説する.
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