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文献詳細

雑誌文献

臨床検査48巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査 2章 主要冠疾患危険因子の診断基準と臨床検査値

4. 糖尿病―診断基準と臨床検査

著者: 柏木厚典1

所属機関: 1滋賀医科大学内科学講座内分泌代謝内科

ページ範囲:P.1235 - P.1240

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はじめに

 糖尿病患者が急増し,糖尿病予備軍の対象者を入れると1997(平成9)年の調査から5年後の調査で250万人増加した.糖尿病は全身の血管を障害し,その治療が糖尿病治療の目標である.特に高血糖と高血圧を基盤として発症進展する細小血管障害(網膜症,腎症,神経障害)は患者のQOLの大きな障害因子となっているが,本章の検討課題である動脈硬化症については,糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて2~3倍高頻度であると指摘されている.その理由として高血糖が直接的に進行を促進する機構が報告されているが,別の重要な機構として糖尿病患者に冠危険因子が重複するいわゆる“メタボリックシンドローム”を呈する症例が多いことも指摘されている.しかも最近の研究から糖尿病予備軍(impaired glucose tolerance;IGT)から動脈硬化症が進行することが指摘され,その理由として食後高血糖,インスリン抵抗性と遅延型高インスリン血症,食後高中性脂肪血症の意義が指摘されている.その結果,糖尿病患者における冠動脈硬化症,脳動脈硬化症,閉塞性動脈硬化症は患者の生命予後決定の重要な因子となり,糖尿病臨床上かつてないほど重要な位置を占めるようになってきた.このように初期からIGTや糖尿病を診断し,生活習慣を改善しその進展因子を改善することによって動脈硬化の発症・進展を抑制することが期待できると報告されている.そこで本稿では動脈硬化発症進展を抑制する視点から糖尿病の診断基準と臨床検査の実際について概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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