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特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査 4章 動脈硬化性疾患発症の臨床検査値異常
5. プラーク破綻と炎症マーカー―MCP-1,TNFα,MMP,HGF,VEGF,TGFβ
著者: 今井豊1 下門顕太郎1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科血流制御内科分野
ページ範囲:P.1372 - P.1378
文献購入ページに移動心筋梗塞発症の機序は,動脈硬化巣(プラーク)が破綻し同部位で凝固のカスケードが活性化される結果,新たな血栓が形成され冠動脈が閉塞することによる.脂質成分に富む動脈硬化巣や,炎症性細胞浸潤が多い動脈硬化巣は破綻しやすいことが知られており,不安定プラークと呼ばれる.心筋梗塞の原因となる不安定プラークは,冠動脈撮影や負荷心電図で検出されるとは限らず,非侵襲的にこれを診断する方法の確立が求められている.プラークの破綻には炎症反応が強く関与しており,現に高感度CRPが破綻の良いマーカーであることが示され,炎症関連物質の測定が注目されている.本稿では,MCP-1,TNFα,MMP, HGF,VEGF,TGFβなどのプラーク破綻のマーカーとして検討が進んでいるサイトカインなどについて,最新の報告を中心に取り上げた.
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