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文献詳細

雑誌文献

臨床検査48巻11号

2004年10月発行

文献概要

特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査 7章 動脈硬化関連遺伝子―どこまで解明されたか

4. メタボリックシンドローム関連遺伝子

著者: 後藤田貴也1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科臨床分子疫学

ページ範囲:P.1481 - P.1487

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はじめに

 メタボリックシンドローム(metabolic syndrome;MS)は,共通の成因的基盤のもとに複数の危険因子が重複し,高率に心血管疾患を引き起こす病態として近年特に注目されている.重複する危険因子としては,耐糖能異常や2型糖尿病,脂質代謝異常(特に高トリグリセリド血症や低HDLコレステロール血症),高血圧,そして肥満(内臓肥満)の4つが主要なものであるが,最近ではCRPなどの炎症マーカーやPAI-1などの凝固系マーカー,尿中微量アルブミン,血中の尿酸やレプチン,small, dense LDLなどの増加も重要視されている.MSは生活習慣(すなわち環境因子)と複数の遺伝因子がその発症に関与する,いわゆる複合遺伝形質(多因子遺伝性疾患)であるが,環境因子としては動物性脂肪や単純糖質の摂取過多,食物繊維の摂取不足,運動不足やそれに伴う肥満,不規則な生活サイクルに起因する自律神経系のアンバランス,あるいは子宮内発育遅延などが指摘されている.関与する遺伝因子に関してはいまだ不明な部分が多いが,本稿ではMSに関連するとされる遺伝子および遺伝子座に関して述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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