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今月の主題 薬物代謝酵素の遺伝的多型―特に個別化薬物治療を目ざして 各論
CYP2D6の遺伝子多型の検出法
著者: 横井毅1
所属機関: 1金沢大学薬学部薬物代謝化学教室
ページ範囲:P.163 - P.169
文献購入ページに移動〔SUMMARY〕 CYP2D6はヒト肝臓での発現量が総P450含量の約3~5%程度と少ないが,抗うつ薬,抗精神病薬,抗不整脈薬,β-遮断薬や抗ヒスタミン薬など臨床上重要な多くの薬を,特異的に代謝する酵素である.日本人における代謝欠損型のヒトの頻度は1%未満であるが,代謝能が低いヒトの頻度は15~20%と高い.また,代謝能が極めて高いヒトも知られている.CYP2D6は遺伝子多型と代謝能の相関の研究が進展している分子種である.CYP2D6遺伝子にはこれまで73種類以上の変異型が発見されており,全欠損型や複数のCYP2D6遺伝子を有する型をはじめ様々な変異が報告されている.変異遺伝子の種類と頻度には大きな人種差が存在するために,日本人における主たる変異遺伝子型を検出する必要がある.〔臨床検査 48:163-169,2004〕
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