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文献詳細

雑誌文献

臨床検査48巻4号

2004年04月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅱ 病理診断に役立つ分子病理学・4

肝・胆道の炎症性疾患

著者: 全陽1 中沼安二2

所属機関: 1福井県済生会病院病理 2金沢大学大学院形態機能病理学

ページ範囲:P.482 - P.489

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はじめに
 肝・胆道系には様々な炎症性疾患が発生する.最も頻度の高い疾患として,ウイルス性肝炎があり,近年,A型,B型,C型,D型,E型肝炎ウイルスが同定され,血清学的,ウイルス学的な診断学が確立されつつある.そして,病理組織学的には,急性肝炎の分類(巣状壊死型,架橋性壊死型等),さらに慢性肝炎では病期(肝線維化を中心とした病期分類:F0-F4),活動度(肝実質や門脈域の壊死炎症の程度:A0-A3)の判定,および病期と活動度を基盤とした治療効果の判定が,診断病理医の重要な仕事となりつつある.
 しかし,いまだ病態や原因(病因)が解明されていない肝胆道系炎症性疾患も多く残されている.これら疾患において,近年,急速に進歩しつつある分子病理学的手法や知識をもとに肝胆道系疾患の病態解析や病理診断が行われつつある.現在,病理検査室で免疫染色やin situ hybridizationが行えるようになり,肝胆道系の炎症性疾患を分子レベル,遺伝子レベルで理解し,これらの知識を病理診断に用いることが今後ますます必要になると思われる.
 本稿では,近年注目されつつある代表的な肝胆道系の3つの炎症性疾患を取り上げ解説する.栄養障害性疾患である非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis;NASH),自己免疫性疾患である原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis;PBC),一般的な細菌感染症を基盤とする肝内結石症の分子病理学を,最近の文献的知見とわれわれの成績を中心に解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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