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文献概要
今月の主題 アルブミン 話題
遺伝子組換えヒトアルブミンによる臨床試験
著者: 竹山宜典1 大柳治正1
所属機関: 1近畿大学医学部外科
ページ範囲:P.551 - P.555
文献購入ページに移動 1.はじめに
ヒトアルブミン(HAS)は,主として肝臓において合成される分子量約66.5KDの蛋白質で,ヒト血漿中の約60%を占める.血液中でビリルビンや脂肪酸などの多くの低分子と結合して,それらの輸送蛋白質として働くとともに,膠質浸透圧保持に重要な役割を果たしている.その病的喪失や合成低下に伴う様々な病態に対して,医薬品として血漿由来ヒト血清アルブミン(nHSA)が臨床応用され,過去には老人や重症患者への栄養剤としても使用範囲が拡大された.そのため1986年にはわが国での使用量が98トンに達し,厚生省(現 厚生労働省)は過剰使用を戒める目的で,1986年に「血液製剤の使用適正化基準」を,1999年には「血液製剤の使用指針」を発表している.その結果,2002年には,国内使用量は48トンまでに減少している.
一方,最近プリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病やパポバウイルスB19のnHSAを介した感染の可能性が指摘されており,これまで比較的安全と考えられてきたnHSAにも感染物質伝播の危険性が指摘されるようになってきた.さらに,血漿分画製剤の自給化が国際的潮流となっているが,使用量が減少したとはいうものの,nHSAの国内自給率は依然として低いことも問題となっている.
このような理由から,nHSAの代替としての遺伝子組換えヒトアルブミン(rHSA)の臨床応用に期待がかけられ,国内外で開発が進められた.特に,わが国ではミドリ十字(現 三菱ウェルファーマ)によりrHSA開発と臨床試験が精力的に行われ,1997年10月には世界に先駆けて製造承認申請がなされた.本稿では,このrHSA(GB-1507)の概要とともにその臨床試験の進捗状況を紹介し,将来の展望を述べる.
ヒトアルブミン(HAS)は,主として肝臓において合成される分子量約66.5KDの蛋白質で,ヒト血漿中の約60%を占める.血液中でビリルビンや脂肪酸などの多くの低分子と結合して,それらの輸送蛋白質として働くとともに,膠質浸透圧保持に重要な役割を果たしている.その病的喪失や合成低下に伴う様々な病態に対して,医薬品として血漿由来ヒト血清アルブミン(nHSA)が臨床応用され,過去には老人や重症患者への栄養剤としても使用範囲が拡大された.そのため1986年にはわが国での使用量が98トンに達し,厚生省(現 厚生労働省)は過剰使用を戒める目的で,1986年に「血液製剤の使用適正化基準」を,1999年には「血液製剤の使用指針」を発表している.その結果,2002年には,国内使用量は48トンまでに減少している.
一方,最近プリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病やパポバウイルスB19のnHSAを介した感染の可能性が指摘されており,これまで比較的安全と考えられてきたnHSAにも感染物質伝播の危険性が指摘されるようになってきた.さらに,血漿分画製剤の自給化が国際的潮流となっているが,使用量が減少したとはいうものの,nHSAの国内自給率は依然として低いことも問題となっている.
このような理由から,nHSAの代替としての遺伝子組換えヒトアルブミン(rHSA)の臨床応用に期待がかけられ,国内外で開発が進められた.特に,わが国ではミドリ十字(現 三菱ウェルファーマ)によりrHSA開発と臨床試験が精力的に行われ,1997年10月には世界に先駆けて製造承認申請がなされた.本稿では,このrHSA(GB-1507)の概要とともにその臨床試験の進捗状況を紹介し,将来の展望を述べる.
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