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文献概要
シリーズ最新医学講座・Ⅱ 病理診断に役立つ分子病理学・5
乳癌
著者: 梅村しのぶ1 長村義之1
所属機関: 1東海大学医学部基盤診療学系病理診断学
ページ範囲:P.577 - P.582
文献購入ページに移動はじめに
病理診断は病変の病理組織形態学的特徴からなされる.細胞,組織形態は,細胞内のすべての事象,遺伝子複製から蛋白合成に至る過程の総和として成り立っている.形態学的特徴には種々の程度の中間段階があること,病因とかならずしも1対1対応ではないこと,疾患概念が変遷することから,かならずしも明瞭な病理診断がなされ得ない,あるいは診断というよりは暫定的なコンセンサスにとどまらざるを得ないという側面が,病理診断の難しさでもありわかりにくさでもある.近年の,種々の疾患,特に腫瘍における遺伝子異常の解明に伴い,より明瞭な病理診断基準,組織分類への期待が大きい.昨今改定されたWHO“Tumours of the Breast and Female Genital Organs”においてもgeneticsについての記載が試みられている.現段階においては,病変と分子病理学的結果との関連性が十分解明されているとはいえないが,本稿においては分子病理学的解析結果の到達点について解説する.
病理診断は病変の病理組織形態学的特徴からなされる.細胞,組織形態は,細胞内のすべての事象,遺伝子複製から蛋白合成に至る過程の総和として成り立っている.形態学的特徴には種々の程度の中間段階があること,病因とかならずしも1対1対応ではないこと,疾患概念が変遷することから,かならずしも明瞭な病理診断がなされ得ない,あるいは診断というよりは暫定的なコンセンサスにとどまらざるを得ないという側面が,病理診断の難しさでもありわかりにくさでもある.近年の,種々の疾患,特に腫瘍における遺伝子異常の解明に伴い,より明瞭な病理診断基準,組織分類への期待が大きい.昨今改定されたWHO“Tumours of the Breast and Female Genital Organs”においてもgeneticsについての記載が試みられている.現段階においては,病変と分子病理学的結果との関連性が十分解明されているとはいえないが,本稿においては分子病理学的解析結果の到達点について解説する.
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