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今月の主題 小児の成長・発育と臨床検査 話題
小児期に特徴的なウイルス性疾患
著者: 細矢光亮1
所属機関: 1福島県立医科大学医学部小児科
ページ範囲:P.671 - P.676
文献購入ページに移動 1. ウイルス感染症の季節性と好発年齢
小児科の一般外来で診察する患者の大部分は感染症であり,またその多くをウイルス感染症が占める.ウイルス感染症は,その種類により好発する季節や年齢がある.国立感染症研究所の感染症情報センターが報告している感染症発生動向調査の結果をもとに,2003年第15週より2004年第14週までの,主なウイルス感染症の週別報告患者数をまとめ,図1に示した.報告数が多いのは,インフルエンザと感染性胃腸炎で,秋から春にかけての流行がみられる.7~9月の夏季には手足口病やヘルパンギーナなどのエンテロウイルス感染症が流行する.このような病態を呈さないエンテロウイルス感染症が多いので,エンテロウイルス感染症全体の患者数はもっと多い.古典的発疹症で最も報告数の多いのは水痘であるが,これらに比較すると少ない.アデノウイルスの代表として流行性角結膜炎の報告者数を挙げた.アデノウイルス感染症はほぼ年間を通じて発生する.図2に発疹症などの報告者数を示した.水痘は秋から春にかけての発生が多く,夏から初秋にかけて減少する.突発性発疹,流行性耳下腺炎,伝染性紅斑の報告数は水痘に比較して少なく,年間を通しほぼ一定の発生がある.麻疹の報告数はさらに少ない.2002年より続いた地域的流行が,2003年秋まで続き収束した.これに変わり,2004年からは風疹の発生数が増加してきている.このほかに,冬季にはRSウイルスやヒトメタニューモウイルスによる下気道炎があり,ライノウイルス,コロナウイルス,パラインフルエンザウイルスによる上気道炎がほぼ年間を通してみられる.さらに,溶連菌などの細菌感染症やマイコプラズマなどの流行が加わり,小児科外来を多彩にしている.
2003年の福島県感染症発生動向調査より,年齢別の患者報告者数を求め,図3に示した.1歳未満の乳児期には,突発性発疹,感染性胃腸炎,この図にはないがRSウイルス感染症などが多い.1歳になると,突発性発疹は減少し,その他の感染症は増加する.インフルエンザは学童期まで発生が続く.感染性胃腸炎,水痘は幼児期に発生が多い.ヘルパンギーナ,手足口病は1~3歳に,流行性耳下腺炎は4~7歳にピークがある.麻疹の報告数は少ないが,年齢別に見ると2歳までの乳幼児が多い.
小児科の一般外来で診察する患者の大部分は感染症であり,またその多くをウイルス感染症が占める.ウイルス感染症は,その種類により好発する季節や年齢がある.国立感染症研究所の感染症情報センターが報告している感染症発生動向調査の結果をもとに,2003年第15週より2004年第14週までの,主なウイルス感染症の週別報告患者数をまとめ,図1に示した.報告数が多いのは,インフルエンザと感染性胃腸炎で,秋から春にかけての流行がみられる.7~9月の夏季には手足口病やヘルパンギーナなどのエンテロウイルス感染症が流行する.このような病態を呈さないエンテロウイルス感染症が多いので,エンテロウイルス感染症全体の患者数はもっと多い.古典的発疹症で最も報告数の多いのは水痘であるが,これらに比較すると少ない.アデノウイルスの代表として流行性角結膜炎の報告者数を挙げた.アデノウイルス感染症はほぼ年間を通じて発生する.図2に発疹症などの報告者数を示した.水痘は秋から春にかけての発生が多く,夏から初秋にかけて減少する.突発性発疹,流行性耳下腺炎,伝染性紅斑の報告数は水痘に比較して少なく,年間を通しほぼ一定の発生がある.麻疹の報告数はさらに少ない.2002年より続いた地域的流行が,2003年秋まで続き収束した.これに変わり,2004年からは風疹の発生数が増加してきている.このほかに,冬季にはRSウイルスやヒトメタニューモウイルスによる下気道炎があり,ライノウイルス,コロナウイルス,パラインフルエンザウイルスによる上気道炎がほぼ年間を通してみられる.さらに,溶連菌などの細菌感染症やマイコプラズマなどの流行が加わり,小児科外来を多彩にしている.
2003年の福島県感染症発生動向調査より,年齢別の患者報告者数を求め,図3に示した.1歳未満の乳児期には,突発性発疹,感染性胃腸炎,この図にはないがRSウイルス感染症などが多い.1歳になると,突発性発疹は減少し,その他の感染症は増加する.インフルエンザは学童期まで発生が続く.感染性胃腸炎,水痘は幼児期に発生が多い.ヘルパンギーナ,手足口病は1~3歳に,流行性耳下腺炎は4~7歳にピークがある.麻疹の報告数は少ないが,年齢別に見ると2歳までの乳幼児が多い.
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