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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻10号

2005年10月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座 臨床現場における薬毒物検査の実際・8

確認分析法(臨床現場におけるLCの活用)

著者: 小山和弘1

所属機関: 1国立がんセンター東病院薬剤部

ページ範囲:P.1153 - P.1157

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はじめに

 地下鉄,松本サリン事件,和歌山のヒ素入りカレー事件を契機として1998(平成10)年に一部の救命救急センターに薬毒物分析機器が整備された.一方で,近年自殺者が増加し,それとともに救命救急センターに搬入される自殺未遂による急性薬物中毒患者も直線的な増加が見られている(図1).急性薬物中毒患者の多くは数日で回復する軽症とされるが,中には重症な症例もあり同様に年々増加している.急性薬物中毒患者の治療においては中毒薬物の血中濃度測定が直接の指標であり,特に,重症中毒患者においてはどのような薬物のどの程度の中毒であるかは治療の選択,評価のためには欠かせない情報である.おそらく,今後も急性薬物中毒患者は増えてゆくと考えられ,その治療のための検査である薬毒物分析は一層重要性が増してゆくと考えられる.

 一方で,われわれの身の回りには膨大な数の化学物質が存在する.病院や薬局で扱う数千種類の薬剤,洗剤などの家庭用化学物質,農薬や除草剤など,数え挙げればきりがない状態である.さらに,年々新たな治療薬,新たな除草剤など増える一方である.すべて測定が可能ではなく,むしろ測定できないほうが多いのが現状である.

 測定器械の問題として,現在,サンプルを入れるとある程度,自動で中毒物質を分析してくれるHPLCベースの測定機器も存在するが,その測定感度の低さ,日本特有の多剤併用療法からくるピーク同士の重なりなどから事実上血清中の薬物分析などは不可能に近く,胃液など濃度の高いサンプルの定性分析用にとどまっている.

参考文献

1) 吉岡敏治:生体試料の前処理法について 化学災害研修「毒劇物テロ対策セミナー」テキストブック,日本中毒情報センター,2001
2) 小山和弘,小笠原伸子,門松賢,他:急性薬物中毒患者に対する血中濃度測定システムの検討.医療 54:565-570, 2000
3) 景浦光義:薬毒物検査マニュアル1999年,法医中毒学ワーキンググループ,日本法医学会,1999
4) 鈴木修,屋敷幹雄編:薬毒物分析実践ハンドブック,じほう,2002
5) 日本薬学会編:主要医薬品データ集,薬毒物化学試験法と注解 第4版,南山堂,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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