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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻11号

2005年11月発行

文献概要

今月の主題 肝臓癌の臨床検査 総説

肝臓癌発生の疫学

著者: 田島和雄1

所属機関: 1愛知県がんセンター研究所疫学・予防部

ページ範囲:P.1177 - P.1183

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〔SUMMARY〕 癌の要因として感染症が注目されるようになったが,なかでも腫瘍ウイルスは多くの臓器で発癌の主役をなしており,特に,肝臓癌の原因となる肝炎ウイルス(HBV,HCV)は疫学的にも予防対策の対象として最も重要である.日本の肝臓癌は過去20~30年の間に急増し,最近ではウイルス感染の予防対策が効を奏し,罹患率も減少傾向を示してきた.しかしながら,日本の肝臓癌はHCV感染が主原因で今後も多くの肝臓癌の犠牲者が出てくるので,慢性肝炎から線維化による肝硬変に移行していく過程を抑制する抗ウイルス剤を中心とした効果的な治療が重要になってきた.さらに,肝臓癌の進展過程を早期に発見し,早期に効果的治療を施す二次予防対策にも期待できる.〔臨床検査 49:1177-1183,2005〕

参考文献

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3) 黒石哲生,広瀬かおる,嶽崎俊郎,他:日本におけるがん死亡(1950-2000).がん統計白書―罹患/死亡・予後―2004(大島明,黒石哲生,田島和雄編),pp1-96,篠原出版新社,2004
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10) Moriwaki H:Prevention of liver cancer;basic and clinical aspects. Exp Mol Med 34:319-325, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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