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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻12号

2005年11月発行

文献概要

特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩 1章 臨床検査の技術的評価の考え方と統計処理法

1. トレーサビリティと不確かさの概念

著者: 細萱茂実1 尾崎由基男2

所属機関: 1山梨大学医学部附属病院検査部 2山梨大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.1283 - P.1288

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はじめに

 測定による値の付与は,測定の対象に対する測定体系が確立されている場合に整合性をもって論じることができる.ここで言う測定体系とは,一般の計測または計量の分野のトレーサビリティ連鎖に対応する.この逆の流れを校正の階層段階と言い,測定の対象である特定の量すなわち測定量に関する基準測定操作法と標準物質で構成され,上位の標準から測定量の値が伝達され,また,その不確かさが受け継がれる.この階層の中で,ある水準における測定の結果の信頼性は不確かさによって定量的に表現される.

 不確かさの解析は国際標準化機構(ISO)が中心となり,編集した国際文書「計測の不確かさ表現に関するガイド(GUM)」1)に基本的に従う.この新しい概念は法定計量や応用物理など計測に関係する多くの国際組織で用いられ,分析化学の分野でも分析値に不確かさを併記して値の信頼性を示すことが国際ルールとなりつつある.

 ここではトレーサビリティ連鎖と不確かさに関する基本的な考え方,日常検査値の不確かさ,標準物質の認証値や管理物質の表示値の不確かさ,また,分析法の校正(キャリブレーション)の不確かさなど,臨床検査に関連する不確かさ評価法を中心に述べる.

参考文献

1) ISO TAG4:Guide to the expression of uncertainty in measurement (GUM). BIPM, IEC, IFCC, ISO, IUPAC, IUPAP, OIML,訂正版1995
2) ISO 17511:In vitro diagnostic medical devices―Measurement of quantities in samples of biological origin―Metrological traceability of values assigned to calibrators and control materials. 2003
3) ISO 18153:In vitro diagnostic medical devices―Measurement of quantities in samples of biological origin―Metrological traceability of assigned values for catalytic concentration of enzymes in calibrators and control materials. 2003
4) 今井秀孝編:計測の信頼性評価.日本規格協会,1996
5) 飯塚幸三監:計測における不確かさの表現のガイド.日本規格協会,1996
6) EURACHEM/CITAC Guide:Quantifying Uncertainty in Analytical Measurement. Second edition, 2000
7) 日本臨床化学会クオリティマネジメント専門委員会:キャリブレータおよびQA用試料の不確かさ評価方法(Ver.1.4).臨床化学 32:186-199,2003
8) 細萱茂実,桑克彦,濱﨑直孝:臨床検査における測定の不確かさ・ケース別推定法.臨床化学 34:40-46,2005
9) ISO 5725:Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results. 1994
10) ISO Guide 35:Certification of reference materials―General and statistical principles. 1989
11) ISO 15189:Medical laboratories―Particular requirements for quality and competence. 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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