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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻12号

2005年11月発行

文献概要

特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩 4章 臨床検査情報の収集とデータマイニング 3. データマイニングの事例

1)検査過誤の防止―デルタチェックと自動再検のアルゴリズム

著者: 山田輝雄1 加野象次郎1

所属機関: 1東京逓信病院臨床検査科

ページ範囲:P.1453 - P.1457

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はじめに

 検体取り違いに起因する検査過誤の検出は,Nosanchukら1)に端を発する単項目デルタチェック(Delta Check;DC)とIizukaら2),Furutaniら3)によって提唱された多変量デルタチェック(Multivariate Delta Check:MVDC)の2つの流れがある.

 DC法は,患者データの今回値と前回値の変化量(デルタ)から検査過誤を検出するという考え方に基づいている.それに対し,多変量判別分析を応用したMVDC法は,理論的には優れていると言われるが,1980年代当時のコンピューター能力では負荷が大き過ぎるという指摘から,松岡ら4)はMVDC法を簡便化した累積デルタチェック(Cumulative Delta Check;CDC)を提案した.しかし,DC法が,よりシンプルで手軽に利用できることから,現在このDC方法が広く支持されているようである.

 臨床検査領域で日常取り扱うデータは,互いに関係を持ちながら多次元的母集団を構成している.このような多変量データが折りなす多面的空間から目的情報を精度良く,効果的に引き出すためには一変量解析を繰り返すより,多変量解析が有用なことは自明であろう.本稿では,データマイニング手法の1事例として多変量デルタチェックを取り上げ概説する.

参考文献

1) Nosanchuk JS, Gottmann AW:CUMS and delta checks:A systematic approach to quality control. Am J Clin Pathol 62:707-712, 1974
2) Iizuka Y, Kume H, Kitamura M:Multivariate delta check method for detecting specimen mix-up. Clin Chem 28:2244-2248, 1982
3) Furutani H, Kitazoe Y, Yamamoto K:Evaluation of the “Mahalanobis' generalized distance” method of quality control:Monitoring system of multivariate data. Am J Clin Pahtol 84:329-336, 1984
4) 松岡明,古屋洋一,仁科甫啓,他:検体取違い検出のための累積デルタチェック法.臨床病理(補) 33:389,1985
5) 久米均,飯塚悦功:多変量管理図の臨床化学検査への応用について.臨床病理 29:176-178,1981
6) 西畑豊:個別データ検証ロジックの考案に関する研究.日本臨床検査自動化学会誌(抄録集) 30:339,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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