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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻12号

2005年11月発行

文献概要

特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩 6章 画像情報・波形情報の解析法

5. 超音波カラードプラ法とその画像解析アルゴリズム

著者: 近藤祐司1 谷口信行2

所属機関: 1アロカシステムエンジニアリング株式会社 2自治医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.1563 - P.1569

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はじめに

 ドプラ法による断層像という意味の“ドプラ断層”の研究は30年ほど前から行われている1,2).当初はMモードだけの表現であったが3),これをBモードで実現できたのは,デジタル化技術の進歩が大きく寄与していると言えよう.デジタル素子の開発は超音波機器にDSC (Digital Scan Converter)の導入を可能にし,また,DSCはカラーモニターを使用することによる色表現も可能にした.デジタル化に伴い高性能なAD変換器(Analog to Digital変換器)が登場し,高容量のメモリが競うように市場に投入された.これら周辺環境の発展によって,今日のようなマイコンやDSP(Digital Signal Processor)の登場を待たずしてもカラードプラ開発が可能になったと言うことができる.

 カラードプラ法は1982年に技術発表され4,5),その翌年には製品が販売された.当時ドプラ法と言うと,いわゆるパルスドプラ法の解析方法がFFT化されスペクトラム表現がようやく可能になったところであった.しかしながら,このスペクトラムドプラ法は使用方法が難しいことや表示データの解釈が難解であるがゆえに,一部の専門家にしか使われていなかった.研究対象としては重要視されていながらも,広く普及させるには心臓の中の血流状態を一目で把握できるような,直感的に受け入れられるドプラ法が切望されていた.臨床家のこうした期待と技術の発展がちょうどよく歩調をそろえたことが,技術発表からわずか1年での製品化を導いたものと思われる.いわばM (Medical)とE (Engineering)の思惑が一致して開発が進められた好例であろう.そして,カラードプラ法が認知されるとともに,専門機器であったスペクトラムドプラ法も必須の機能として受け入れられ普及することになった.

参考文献

1) Grandchamp PA:A novel pulsed directional Doppler velocimeter:The phase detection profilometer. Proc. Second European Cong. Ultrasonics Medicine (Kanzer E, et al, eds), Exceptra Medica, Amsterdam, Oxford, pp137-143, 1975
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3) Brandestini MA, Howard EA, Weile EB, et al:The synthesis of echo and Doppler in M-Mode and sector scan. Proceedings of Annual Meeting of the American Institute of Ultrasound in Medicine, Maryland, p125, 1979
4) Namekawa K, Kasai C, Tsukamoto M, et al:Real-time blood flow imaging system utilizing auto-correlation techiniques. Proceedings of Ultrasound, Pergamon Press, Oxford, pp203-208, 1982
5) Bommer W, Miller L:Real-time two dimensional color-flow Doppler flow imaging in the diagnosis of cardiovascular disease. Am J Cardiol 49 (Abstract):944, 1982
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9) 近藤祐司,河西千廣,滑川孝六:カラーアトラスリアルタイムドプラ断層心エコー図法 ドプラ断層の臨床.改訂第2版(尾本良三編),診断と治療社,pp7-17,1987
10) 八木晋一:ゆらぎ理論による血液からの超音波散乱パワの評価について.電子医学 11(3):169-172,1976
11) Machida H, Yagi S, Kondo Y, et al:Real-time monitoring of shear wave traveling in liver tissue in vivo. JJAP 43(5B):3241-3244, 2004
12) 滑川孝六,原田烈光,河西千廣:超音波ドップラーによるリアルタイム血流映像装置.電子情報通信学会論文誌D Vol.J70-D(7):1432-1440,1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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