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特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩 7章 検査室の経営分析と管理に必要な情報処理技術
1. 経営分析に関する基礎技術
著者: 髙橋淑郎1
所属機関: 1日本大学商学部
ページ範囲:P.1587 - P.1596
文献購入ページに移動病院経営分析は病院の経営活動の状況やその成果を分析し,評価することが主となる.したがって,これまでは病院の経営内容を財務諸表などの経営数値を中心に分析・検討することが主となってきた.しかし,財務データは過去のデータであり,それは将来を示すものではないことなどから,病院経営を全般的に把握して客観的にみるには,病院の財務的数値や職員の活動を示す数値などのほかに,病院活動の非財務的なデータ,例えば組織,労使関係の良否,院長の管理能力,診療圏分析,意思決定機構あるいは診療の内容,看護の内容あるいはその病院の職員のやる気,業務プロセス,ブランド力などまで入り込み,できるだけ客観的に検討し,経営面,診療面など多角的に総合的に見出していき,客観的に現状をみることが求められる.
それがあって,改善プログラムを提案し,それを実行し,コントロールしていけるのである.したがって病院の診療と経済性のみではなく,その病院の発展性,継続性および安全性などを財務,非財務のデータを使って総合的に分析するものでなければならない.
病院の経営をみる場合,分析主体が誰であるかによって分析目的が変わってくる.一般に病院の内部者と外部者に分けて考えることが多い.内部者が行う分析を内部分析,外部者が行う分析を外部分析と言う.内部分析は病院内部の経営管理者の立場から行われる分析で,外部分析は病院の外部の利害関係者,例えば金融機関の融資担当者,取引業者,監督官庁などが分析するものを言う.
本稿では,病院の内部者が分析することを中心に記述する.
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