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今月の主題 私と臨床検査―先達の軌跡 私と臨床検査
薬学と臨床検査
著者: 田村善藏1
所属機関: 1東京大学
ページ範囲:P.274 - P.276
文献購入ページに移動1955(昭和30)年ころのことと思うが,東京大学薬学部の薬品分析化学教室で,石館守三教授が九州大学に栄転された百瀬勉教授を交えて,教室の将来について討論会を開かれた.私が「これまで薬学の分析化学は医薬品と環境物質を対象にしてきた.これからは医学と協力するために生体成分を対象にしてはどうか」と申し出ると,百瀬教授は「自分はそれを考えて糖の分析化学をやっている.この分野の研究は1人や2人でできるものではない.おおいに同志を集めてやるべきだ」といわれた.それから教年後,東京大学分院の中央臨床検査部の斎藤正行講師が石館教授に臨床化学への参加を要請された.石館教授は「非常に大切な分野であるが自分にはやる暇がない.田村がやるだろう」といわれた.
2.臨床化学研究事始とうつ病
1961(昭和36)年4月,定年退官された石館教授の後任に就任した私は,臨床化学に役立つ分析化学を目指したが,何分生まれて始めての分野であったので,とりあえず石館教授が残された糖類の分析化学と南原利夫助教授のステロイド研究を続け,α-ケト酸やピリドキサールの新しい蛍光分析法を開発して行った.
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