臨床検査49巻3号

2005年03月発行

今月の主題 私と臨床検査―先達の軌跡 私と臨床検査

臨床検査部門中央化システム立ち上げの初期の頃から―臨床病理学，病理学，細胞病理学，臨床検査医学の統括

著者： 田中昇¹

所属機関： ¹BML病理・細胞診センター（ＰＣＬ） ²元千葉県がんセンター研究所 ³元日赤中央病院・検査部 ⁴日本大学

ページ範囲：P.303 - P.312

1．はじめに

　本誌は現在創刊50巻を迎えようとしている．発刊時前後に編集者から種々相談を受けたことを記憶している．たまたま「癌の臨床」が昨年2004年に創刊50周年で私が第1巻に投稿し，途中の十数年間編集委員をしていた関係で50周年記念特集に癌病理学，細胞病理学について執筆を依頼された¹⁾．私は元来文献学者になりたくない，多数の他人の論文を読んで総説を書くようなぶんざいではないと，お断りしたが，是非にということで自己中心的な，自身がかかわったことが中心となってしまった．本稿も全く同様1949，1950(昭和24，25)年，母校東京医科歯科大学病理学教室で恩師太田邦夫先生に指導を受け，日赤中央病院，癌研究会(癌研)などに派遣され，1972(昭和47)年に千葉県がんセンター研究所に移転，その頃のことなどを中心に臨床病理，臨床検査，病院病理といった経験について述べたい．自由，随想的にという編集者の意向で，academic, scientificな内容でないことをお許しいただきたい．

参考文献

１) 田中昇：癌病理学，細胞病理学からみた50年：本誌を通じて．癌の臨床50特集・創刊50周年記念．癌の臨床　50：599-605, 2004

２) 田中昇：病院病理医業務振興に関する討論会．医学のあゆみ　82(シリーズ)：538-660, 1972

３) 田中昇：細胞診のシステム化―歴史的背景と問題点　特集：田中昇，丸山孝士監集，細胞診―癌治療における寄与と問題点．癌の臨床　42：881-885, 1996

４) 田中昇，池田栄雄，上野哲夫，他：細胞診断自動化のための基礎的データ収集・解析と自動化装置の試作．臨床病理　21：757-768, 1973

５) 田中昇，上野哲夫，池田栄雄，他：画像処理による細胞診断の自動化：基礎的研究から実用化へ．臨床病理　30：571-585, 1982

６) Tanaka N, Ikeda H, Ueno T, et al：Automated cytologic screening system (CYBEST model 4)；an integrated image cytometric system. Applied Optics　26：3301-3307, 1987 (1985 IAC Mauric Goldblatt Cytology Award Memorial Lecture, Brussels)

７) 田中昇：細胞診スクリーニングの自動化―特にthe state of the art. 病理と臨床　20(臨増)：124-135, 2002

８) 田中昇：細胞診スクリーニング自動化―特にThe state of the artと展望．臨床検査　46：595-606, 2002

９) Wied GL, Dytch HE, Meisels A, et al：Cytopathology of the uterine cervix. CAP　子宮頸部細胞病理学(高浜素秀，杉下匡訳)，医歯薬出版　p211, 1995

10) 田中昇：細胞診の自動化について―必要とする背景と現況．癌の臨床　42：893-895, 1996

11) 田中昇，大塚重則，松山みどり，他：Cytometry-DAPI/HP二重染色によるUV―顕微分光測光―病理・細胞診への実用化．病理と臨床　12：829-838, 1994

12) 田中昇，小川威士，直江史郎，他：Alginate plasma expanderによって惹起された術後急性腎不全について：12例の剖検例を中心として．日病会誌　60：181-187, 1971

13) 陳維嘉，栗林宣夫，田中昇：殊に心冠血管に顕著な乳児の多発性結節性動脈炎の1剖検例．日病会誌　51：54, 1962(川崎病剖検側の実質的な第1号報告)

14) 田中昇，直江史郎，川崎富作：MCLS死亡例の検討―PN様動脈炎との関連．日赤中央病院医報　2：85-94, 1971(川崎病に関する最初の系統的病理学的報告)

15) 神崎章夫，川崎宮作，田中昇：MCLS死亡例の検討―冠動脈炎を主体とする乳児PNとの関連．日本小児科学会誌　76：696, 1972(パズル)

16) Tanaka N：Kawasaki disease (Acute infantile febril mucocutanous lymph node syndrome) in Japan：Relationship with infantile periarteritis nodosa. Proc. 12th International Geographic Pathology. Pathologia et Microbiologia. Karger, Barsel　43：120-134, 1975

17) Tanaka N, Sekimoto K, Naoe S：Kawasaki disease：Relationship with infantile periarteritis nodosa. Arch Pathol Lab Med　100：81-86, 1976

18) Burns JC, Kushner HI, Bastian JF, et al：Kawasaki disease：A Brief History. Pediatrics　106：1-8, 2000

19) 田中昇，関本一義，直江史郎：川崎病(MCLS)にみられる動脈炎―乳児結節性動脈周囲炎との異同について．日本臨牀　34：259-268, 1976

20) 川崎富作，窪田成一，田中昇，他：乳児periarterifis nodosaの2剖検例とその臨床的特長―特にMCLSとの関係について(その1)．治療　52：633-641，(その2)811-818, 1970

21) 川崎富作：説苑：MCLSと急死例．日児法　75：433-434, 1972

22) 田中昇：細網膜の諸相―病理．特に悪性細網症について反応相と腫瘍相の境界．最新医学　24：825-844, 1969

23) Tanaka N：Malignant reticulohistiocytosis：Borderline between reactive and neoplastic. Recent Advance in RES Research　12：124-143, 1972

24) Tanaka N：Malignant reticulohistiocytosis. GANN Monograph on Cancer Research 15 (Eds. Akazaki, Rappaport, Bennet and Ishikawa) Tokyo Univ. Press. pp123-143, 1973

25) 田中昇：骨髄線維症及び骨髄硬化症．臨床血液学　10版補遺(小宮著)．1962

26) Tanaka N：Pathological Study on myelofibrosis. Acta haemat. jpn. (日血会誌)　26：301-328, 1963(血液学会宿題報告)

27) 田中昇，上野喜三郎，大塚重則，他：細胞診の現状，限界と将来性―限界への挑戦．乳癌の臨床　18：24-39, 2003

28) 田中昇：検査技師教育を将来いかにすべきか(シンポジウム(柴田進)総合病院検査部の立場から)―検査倫理の確立．臨床病理　17：908-910, 1969