ヒトゲノムプロジェクトがほぼ終了し,ゲノム,トランスクリプトーム,プロテオーム,グライコーム,メタボロームなど,多くのオームという単語がいろいろな特集のテーマとして組まれることが多くなった.これらは探索される対象である.一方,マイクロアレイは探索する技術として広く用いられるようになってきている.DNAやRNAのような核酸だけでなく,抗体アレイ,プロテインアレイなど,対象とされる種類も増えてきている.
DNAマイクロアレイは昨今では網羅的な研究には欠かせない技術として使用されている.体外診断薬のチップとしても,昨年,ロシュ社のcytochrome P450のDNAチップが開発され,欧米で認可を得ている(詳細は話題,三好の稿参照).この3月には,米国食品医薬品局(FDA)がファーマコゲノミクス・ガイダンスの最終版を発表した(http://www.fda.gov/cder/genomics/default.htm).これには,製薬企業が新薬の臨床試験で患者の遺伝型を解析するデータを任意に提出する手順が掲載されている.さらに,既に表現型との関係の評価が確定している遺伝型については,臨床試験で遺伝型を判別すべきと規定されている.このような状況の中,薬剤感受性の遺伝子情報をマイクロアレイで一括して検査することにより,薬剤の種類や量の決定に役立てるという,いわゆるテーラーメイド医療(オーダーメイド医療,個別化医療)の実用化が加速していくことが期待される.