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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻7号

2005年07月発行

文献概要

今月の主題 アレルギー疾患の現況と今後の展望 話題

アレルギー疾患のトランスクリプトーム解析Ⅱ―新規アレルギー疾患マーカーとしての扁平上皮細胞癌抗原(SCCA)の同定

著者: 出原賢治12

所属機関: 1佐賀大学医学部分子生命科学講座分子医化学分野 2佐賀大学医学部附属地域医療科学教育研究センター重点医療研究部門

ページ範囲:P.769 - P.772

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1.はじめに

 ヒトゲノムプロジェクトが終了してポストゲノム時代となった現在,「トランスクリプトーム」に大きな関心が払われている.トランスクリプトームとは,遺伝子がmRNAとして転写された状態全体を指している.トランスクリプトームが注目を浴びている理由は,一般に,ある細胞においてある時点では,遺伝子全体の約5%しか転写されておらず,ほとんどの遺伝子は活性化されていないことが挙げられる.また,トランスクリプトームを解析することにより,様々な疾患の原因を明らかにできると期待されていることも挙げられる.マイクロアレイはトランスクリプトームを解析する最も強力な道具である.マイクロアレイを用いることにより,数千の遺伝子に関する発現解析を同時に,しかも比較的簡便に行うことが可能となっている.本稿では,われわれがマイクロアレイ法を用いて新規のアレルギー疾患診断マーカーを同定した試みについて紹介したい.それ以外の気管支喘息に対するマイクロアレイの応用については,他の総説を参考にしていただきたい1)

参考文献

1) Izuhara K, Arima K, Yuyama, N, et al:Application of functional genomics to bronchial asthma. Curr Pharmacogenomics 2:351-356, 2004
2) Izuhara K, Arima K:Signal transduction of IL-13 and its role in the pathogenesis of bronchial asthma. Drug News Perspect 17:91-98, 2004
3) Yuyama N, Davies DE, Akaiwa M, et al:Analysis of novel disease-related genes in bronchial asthma. Cytokine 19:287-296, 2002
4) Nishi N, Miyazaki M, Tsuji K, et al:Squamous cell carcinoma related antigen (SCCA) in children with acute asthma. Ann Allergy Asthma Immunol 94:391-397, 2005
5) Izuhara K:The role of interleukin-4 and interleukin-13 in the non-immunologic aspects of asthma pathogenesis. Clin Chem Lab Med 41:860-864, 2003
6) Masumoto K, Sakata Y, Arima, K, et al:Inhibitory mechanism of a cross-class serpin, the squamous cell carcinoma antigen 1. J Biol Chem 278:45296-45304, 2003
7) Sakata Y, Arima K, Takai T, et al:The squamous cell carcinoma antigen 2 inhibits the cysteine proteinase activity of a major mite allergen, Der p 1. J Biol Chem 279:5081-5087, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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