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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻8号

2005年08月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座 臨床現場における薬毒物検査の実際・6

確認分析法(HPLC, LC/MS)

著者: 工藤恵子12 鮫島一郎3 石田知己12 池田典昭4

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院社会環境医学講座 2九州大学大学院医学研究院法医学分野 3健和会大手町病院・中毒センター 4九州大学大学院医学研究院

ページ範囲:P.907 - P.917

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はじめに

 和歌山の毒入りカレー事件やその後に頻発した毒物混入事件を契機に,臨床現場における薬毒物検査の重要性が認識され,旧厚生省が全国73の救命救急センターに分析機器を配備したのは1998年(平成10年)度のことである.このとき最も多くの施設に配備されたのが蛍光X線分析装置とならんで,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)であった.あれから6年が経過し,配備された分析機器を用いた薬毒物分析が順調に行われている施設も多数存在する一方,分析を開始してみたものの思ったように結果を得ることができず,現在では全く分析が行われていない施設も見受けられる.また,機器の配備は行われなかったが,独自に分析機器を購入して薬毒物分析を立ち上げた施設もある.このような状況下,今一度基本に戻り「臨床現場における薬毒物検査の重要性」を再認識し,より実用性の高い分析を行うことは重要であると思われる.

 本稿では,HPLCと高速液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)の原理を簡単に紹介すると同時に,これらの分析機器を用いて「できること・できないこと」,さらに機器を使用するうえで最低限知っておきたい注意点について,実際の臨床症例における分析経験も交えながら解説する.

参考文献

1) 堀 寧,岩崎泰昌,工藤恵子,他:分析が有用な中毒起因物質の実用的分析法グルホシネート.中毒研究 15:61-64, 2002
2) 工藤恵子,岩崎泰昌,奈女良昭,他:分析が有用な中毒起因物質の実用的分析法ブロムワレリル尿素.中毒研究 15:301-305, 2002
3) 堀 寧,岩崎泰昌,黒木由美子,他:分析が有用な中毒起因物質の実用的分析法アセトアミノフェン.中毒研究 15:385-390, 2002
4) 堀 寧,岩崎泰昌,小宮山豊,他:分析が有用な中毒起因物質の実用的分析法サリチル酸塩―とくにアスピリン.中毒研究 16:93-98, 2003
5) 工藤恵子,奈女良昭,堀 寧,他:分析が有用な中毒起因物質の実用的分析法パラコート.中毒研究 16:465-469, 2003
6) 奈女良昭,工藤恵子,屋敷幹雄,他:分析が有用な中毒起因物質の実用的分析法メタンフェタミン.中毒研究 17:282-285, 2004
7) 鈴木修,屋敷幹雄編:薬毒物分析実践ハンドブック.じほう,pp241-246, 2002
8) 岩崎泰昌,奈女良昭,岡林清司,他:急性ブロムワレリル尿素中毒の3例―血中濃度と意識レベル.中毒研究 11:275-279, 1998
9) Kudo K, Tsuchihashi H, Ikeda N:Meeting challenges in forensic toxicology in Japan by liquid chromatography/mass spectrometry. Analytica Chimica Acta 492:83-104, 2003
10) 日本薬学会編:機器分析法 高速液体クロマトグラフィー,高速液体クロマトグラフィー/質量分析法.衛生試験法・注解,金原出版,pp3-9, pp14-21, 2000
11) 丹羽利光:最新のマススペクトロメトリー,化学同人,1999
12) 山口政俊,升島努,斎藤寛編:分析化学Ⅱ.南江堂,2002
13) 島津製作所http://www.an.shimadzu.co.jp, Shodex http://www.shodex.com/,GLサイエンスhttp://www.gls.co.jp/

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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