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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻9号

2005年09月発行

文献概要

今月の主題 キャピラリー電気泳動法 話題

HbA1C測定標準化と毛細管電気泳動法

著者: 梅本雅夫1

所属機関: 1(中法)HECTEFスタンダードレファレンスセンター

ページ範囲:P.1007 - P.1010

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1.DCCTのレファレンス法

 DCCT(the Diabetes Control and Complication Trial)1)のHPLCを用いるレファレンス法(reference method)を基にした,米国NGSPによる標準化2)の成果が,2003年のCAP(the College of American Pathologists)サーベイで著しい効果を上げ,それが国際的に認知され,同様のシステムが日本,スウェーデン,英国などの主要国で採用された.しかし,このDCCTのレファレンス法はHPLCを用いており,DCCTと全く同じシステムを採用しない限り,用いるカラム,溶出条件などによりHbA1Cの値は異なる.すなわちDCCTの基準はSI単位のように確固たる基礎のもとに確立をされたものでないため,時間的,地理的に一定の値を維持するのは極めて困難といえる.

 1998年に発足したIFCC HbA1C WG (the IFCC Working Group on HbA1C Standardization)は,2002年にHbA1Cの明確な定義と測定方法を発表した3).これはSI単位にトレーサブルな測定方法であり,時間的にも地理的にも一定の値を提供できることから,現在では各国の標準化の中心的存在,すなわちグローバルスタンダードとして認知されている4,5).これは,IFCCの値に統一するのではなく,各国がそれぞれの値を維持できるような,世界的な基準を提供することとして理解されている.しかし,ヨーロッパ,日本などにおいて,近い将来にIFCCのレファレンス法による値に統一するための努力が行われている.

参考文献

1) The Diabetes Control and Complications Trial Research Group:The effect of intensive treatment of diabetes on the development and progression of long-term complications in insulin-dependent diabetes mellitus. N Engl J Med 329:977-986, 1993.
2) Goldstein D, Little RR, Wiedmeyer HM, et al:Is glycohemoglobin testing useful in diabetes mellitus? Lessons from the Diabetes Control and Complications Trial. Clin Chem 40:1937-1940, 1994
3) Kobold U, Jeppsson JO, Dulffer T, et al:Candidate reference methods for hemoglobin A1C based on peptide mapping. Clin Chem 43:1944-1951, 1997
4) Sackes DB:Global Harmonization of Hemoglobin A1C. Clin Chem 51:681-683, 2005
5) 富永真琴・梅本雅夫:糖尿病の新しい診断基準とHbA1Cおよびその標準化.検査と技術 29:415-420, 2001
6) Approved Reference Method for HbA1C Based on Peptide Mapping (Standard Operating Procedure). Document issued by IFCC Working Group on HbA1C Standardization.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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