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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻9号

2005年09月発行

文献概要

学会だより 第46回日本臨床細胞学会春期総会

がん検診の大切さを改めて認識して

著者: 是松元子1

所属機関: 1埼玉社会保険病院中央検査部・病理

ページ範囲:P.1045 - P.1046

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第46回日本臨床細胞学会春期総会は産業医科大学産婦人科柏村正道学会長のもと2005年5月26,27,28日福岡国際会議場で開催された.日本臨床細胞学会は春期大会(総会)と秋期大会と年二回開催されるが,このところ首都圏での開催が続いており,久しぶりの地方都市での学会で,特に九州では13年ぶりの開催ということで,2,600人の参加があったそうである.新緑の季節,好天に恵まれ広々とした開放的な会場でゆったりとした,整然とした雰囲気の学会であった.

 今学会のメインテーマは「がん検診の明日をめざして」というもので,長く子宮がん検診に携わってこられた学会長の思いが感じられるテーマであった.メインテーマに沿って,シンポジウム1では「肺がん検診の明日は」シンポジウム2では「乳がん検診と細胞診」ワークショップ3では「Liquid Base Cytology(Thinlayer法のがん検診への応用)」と各臓器の検診にかかわる問題点が様々な視点から発表された.会長講演では「子宮がん検診の現状と今後の展望」と題され,柏村先生が取り組んでこられた子宮がん検診の歴史について,また精度管理の方法や重要性に関して講演された.日常的であるが重要なお話であり,大きなメインホールは聴衆であふれていた.われわれ細胞検査士も何らかの形で検診細胞診に携わるものが多いが,特に昨今の行政検診の見直しにより検診業務を主体とする職場に勤務する細胞検査士は配置転換を余儀なくされたり,職を失う危機感があったりと不安定な環境に置かれている.色々なことが時代によって変化するのはある程度自然なことではあるが,体がん検診の中止や頸がん検診の隔年実施は納得いくものではないと思われる.検診の有効,無効を何で判断しているのか.欧米に比べてのわが国の検診率の低さをどう解決するのか.与えられた検体について精度の高い結果を出すことに日々努力していくことはもちろんであるが,臨床医,細胞診専門医,細胞検査士の協力によって安定した検診体制の確立を目指していきたいものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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