研究
血糖および尿糖の新定量法とその精度(有機分析第30報)
著者:
百瀬勉1
向井良子2
河辺節子2
所属機関:
1九州大学
2九州大学医学部薬学科薬品分析化学教室
ページ範囲:P.107 - P.111
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血糖および尿糖の定量法には多くの方法が発表されており,そのうち数種は実用的な方法として成書に記載されている。わが国で現在もつともよく使われている方法は血糖定量にHagedorn-Jensen法1),尿糖定量にBenedict法2)であろう。この両法はいずれも滴定法であつて操作は簡単でないが,ともに信頼度が高く誤差が比較的小さいのでよく用いられるわけである。私どもは最近発見した試薬3,6-ジニトロフタル酸を用いる血糖および尿糖の定量法を発表した3)。この方法は血液は0.1mlを試料とし,除蛋白後発色させて光電光度計により吸収度を測る簡単な方法であるが,同じ除蛋白剤を用いて試験して見るとHagedorn-Jensen法とよく一致する値を与える。また尿ではきわめて稀釈したものを試料とするので,蛋白尿でも前処理の必要なく定量できる特徴をもつている。今回この定量法の精度をHagedorn-Jensen法およびBenedict法の精度と推計学的に比較研究したので,その結果をここに報告し参考に供したい。