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血液銀行—(日本赤十字社輸血研究所)
著者: 村上省三1
所属機関: 1日本赤十字社輸血研究所研究部
ページ範囲:P.183 - P.186
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輸血の歴史をひもといてみると,輸血にもいくつかの特筆すべき業績があつて,エポックを画しながら発展してきていることがよくわかる。第1は何といつても1616年に発見され1628年に発表されたWilliam Harveyの循環の理論である。これによつてはじめてその可能性が生れたといえよう。第2のエポックは動物や人間への輸血の実用である。動物から動物へは1665年イギリスのRichard Lowerが,動物から人間へはフランスのJean Baptist Denisが,そして最後に人間から人間への輸血が,ずつとおくれて1818年にイギリスのJames Blundellによつてはじめておこなわれたといわれている。ことにJean Baptist Denisが子ヒツジの血液をある青年に輸血して,救命し得たことは今被でも高く評価されている。しかしこの時代は,勿論血液型の知識もなく,さらに滅菌,消毒の観念もなく,また器具も極めて幼稚不完全のものであつたので,これら先人の不撓の努力も,血管内溶血,感染等に見舞われることが多く,労多くして功すくないものであり,一部では輸血そのものに対する不信の念すらも生えつける始末であり,ある人にいわしむれば輸血は脳腫瘍の手術よりもむつかしいとされていた。
輸血の歴史をひもといてみると,輸血にもいくつかの特筆すべき業績があつて,エポックを画しながら発展してきていることがよくわかる。第1は何といつても1616年に発見され1628年に発表されたWilliam Harveyの循環の理論である。これによつてはじめてその可能性が生れたといえよう。第2のエポックは動物や人間への輸血の実用である。動物から動物へは1665年イギリスのRichard Lowerが,動物から人間へはフランスのJean Baptist Denisが,そして最後に人間から人間への輸血が,ずつとおくれて1818年にイギリスのJames Blundellによつてはじめておこなわれたといわれている。ことにJean Baptist Denisが子ヒツジの血液をある青年に輸血して,救命し得たことは今被でも高く評価されている。しかしこの時代は,勿論血液型の知識もなく,さらに滅菌,消毒の観念もなく,また器具も極めて幼稚不完全のものであつたので,これら先人の不撓の努力も,血管内溶血,感染等に見舞われることが多く,労多くして功すくないものであり,一部では輸血そのものに対する不信の念すらも生えつける始末であり,ある人にいわしむれば輸血は脳腫瘍の手術よりもむつかしいとされていた。
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