文献詳細
文献概要
今月の主題 PK/PD解析を指標とした感染症治療 巻頭言
抗菌薬とPK/PD
著者: 岩田敏1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター
ページ範囲:P.7 - P.8
文献購入ページに移動1.感染症治療へのPK/PDの導入
近年,薬物の効果を,薬物動態(Pharmacokinetics;PK)と薬力学(Pharmacodynamics;PD)の関係から理解しようとする考え方が導入されるようになり,薬剤の開発,臨床応用に利用されている.感染症治療に使用される抗菌薬の場合にも,耐性菌の出現や副作用の発現を最小限に抑えてより効果的な治療を行うという抗菌薬適正使用の観点から,PK/PDを指標とした抗菌薬投与法は重要視されている.抗菌薬の場合,降圧剤や抗痙攣薬のように,循環器系や中枢神経系など,直接人体に作用して薬効を発揮する薬剤とは異なり,人体に感染して悪さをしている病原微生物に作用して薬効を発揮するため,特定の病原微生物によって起きている感染症に対する効果を,in vitroの抗菌活性と体内動態から類推することが比較的容易である.特に病因微生物の消長により判定する細菌学的効果とPK/PD解析から求められる各種パラメーターとの間には一定の相関が認められる場合が多いようである.逆に,生体の感染防御機構の関与する度合が高くなる臨床的効果については,それらのパラメーターと必ずしも相関しない場合も少なくない.
それでは抗菌薬の効果をより増強させるような投与方法,耐性菌を出現させにくいような投与方法,あるいは副作用が起こりにくい投与方法とはどのように考えていったらよいのであろうか.それらの詳細については,今回の特集の中で,それぞれの専門家の先生方が詳細に論じて下さっているので,そちらをお読みいただければご理解いただけるはずであるが,巻頭における読者の皆様への枕詞として,抗菌薬とPK/PDの関係について簡単に述べる.
近年,薬物の効果を,薬物動態(Pharmacokinetics;PK)と薬力学(Pharmacodynamics;PD)の関係から理解しようとする考え方が導入されるようになり,薬剤の開発,臨床応用に利用されている.感染症治療に使用される抗菌薬の場合にも,耐性菌の出現や副作用の発現を最小限に抑えてより効果的な治療を行うという抗菌薬適正使用の観点から,PK/PDを指標とした抗菌薬投与法は重要視されている.抗菌薬の場合,降圧剤や抗痙攣薬のように,循環器系や中枢神経系など,直接人体に作用して薬効を発揮する薬剤とは異なり,人体に感染して悪さをしている病原微生物に作用して薬効を発揮するため,特定の病原微生物によって起きている感染症に対する効果を,in vitroの抗菌活性と体内動態から類推することが比較的容易である.特に病因微生物の消長により判定する細菌学的効果とPK/PD解析から求められる各種パラメーターとの間には一定の相関が認められる場合が多いようである.逆に,生体の感染防御機構の関与する度合が高くなる臨床的効果については,それらのパラメーターと必ずしも相関しない場合も少なくない.
それでは抗菌薬の効果をより増強させるような投与方法,耐性菌を出現させにくいような投与方法,あるいは副作用が起こりにくい投与方法とはどのように考えていったらよいのであろうか.それらの詳細については,今回の特集の中で,それぞれの専門家の先生方が詳細に論じて下さっているので,そちらをお読みいただければご理解いただけるはずであるが,巻頭における読者の皆様への枕詞として,抗菌薬とPK/PDの関係について簡単に述べる.
掲載誌情報