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特集 ナノテクノロジーとバイオセンサ 各論 Ⅱ. バイオセンサ関連
1. 酵素センサの原理と応用
著者: 久保いづみ1
所属機関: 1創価大学工学部生命情報工学科
ページ範囲:P.1449 - P.1458
文献購入ページに移動Ⅰ. 酵素センサとは
バイオセンサの中でも酵素を分子識別に利用する酵素センサは最も初期から研究がされている.酵素を生化学的分析に利用することは,1940年代から始まっていたと言われている1).酵素は基質特異性の極めて高い触媒であるから,特定の物質の選択的分析には有用であることはいうまでもない.酵素を溶液中で触媒として用いる検査は今も種々の測定キットとして商品化されているが,1940年代にはまだ,そのようなものが手軽に入手できたわけではなく,また酵素も高価なものであったか,あるいは商品化はされておらず,自分で分離精製しなければならなものであったのかもしれない.
このようななかで,グルコースの定量にはglucose oxidase(GOD)とperoxidaseを使用し,グルコースの酸化によって生じた過酸化水素からperoxidaseを介して電子受容体となる色素を還元することで色素の色変化(呈色)を測定する方法が有効であることが示されていた.
バイオセンサの中でも酵素を分子識別に利用する酵素センサは最も初期から研究がされている.酵素を生化学的分析に利用することは,1940年代から始まっていたと言われている1).酵素は基質特異性の極めて高い触媒であるから,特定の物質の選択的分析には有用であることはいうまでもない.酵素を溶液中で触媒として用いる検査は今も種々の測定キットとして商品化されているが,1940年代にはまだ,そのようなものが手軽に入手できたわけではなく,また酵素も高価なものであったか,あるいは商品化はされておらず,自分で分離精製しなければならなものであったのかもしれない.
このようななかで,グルコースの定量にはglucose oxidase(GOD)とperoxidaseを使用し,グルコースの酸化によって生じた過酸化水素からperoxidaseを介して電子受容体となる色素を還元することで色素の色変化(呈色)を測定する方法が有効であることが示されていた.
参考文献
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