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特集 ナノテクノロジーとバイオセンサ 各論 Ⅲ. マイクロチップ分析関連
5. マイクロアレイ診断チップ
著者: 野島博1
所属機関: 1大阪大学微生物病研究所分子遺伝研究分野
ページ範囲:P.1577 - P.1586
文献購入ページに移動はじめに
ポストゲノム時代という言葉が古臭く聞こえるほど凄まじい勢いでバイオ技術は進展している.「ベンチからベッドサイドへ」という合言葉をもって始まったトランスレーショナル医療(translational medicine)は,ゲノム創薬やゲノム医療の基盤となる臨床検査の分野で現実のものとなりつつある1).その際に使われるツールのひとつにマイクロアレイ診断チップがある.それにもDNAチップ,蛋白質チップ,抗体チップ,糖鎖チップなど様々な種類の診断チップが考案され研究されている.マイクロアレイDNA診断チップについても,その概念はどんどん広がっており,当初のcDNA(あるいはそれに相当するオリゴヌクレオチド)を貼り付けてゲノムレベルでの遺伝子発現解析を行うものだけでなく,全ゲノム領域を貼り付けたゲノムタイリングアレイ,ChIP-Chip法に用いられるプロモーター領域のDNAチップ,さらにmicro RNAを解析するためのDNAチップが開発されており,今後さらにその応用研究は広がって行くものと思われる2).ここでは話を分散させないために,主として本来の「cDNAの発現解析」に話題を絞って解説する.
ポストゲノム時代という言葉が古臭く聞こえるほど凄まじい勢いでバイオ技術は進展している.「ベンチからベッドサイドへ」という合言葉をもって始まったトランスレーショナル医療(translational medicine)は,ゲノム創薬やゲノム医療の基盤となる臨床検査の分野で現実のものとなりつつある1).その際に使われるツールのひとつにマイクロアレイ診断チップがある.それにもDNAチップ,蛋白質チップ,抗体チップ,糖鎖チップなど様々な種類の診断チップが考案され研究されている.マイクロアレイDNA診断チップについても,その概念はどんどん広がっており,当初のcDNA(あるいはそれに相当するオリゴヌクレオチド)を貼り付けてゲノムレベルでの遺伝子発現解析を行うものだけでなく,全ゲノム領域を貼り付けたゲノムタイリングアレイ,ChIP-Chip法に用いられるプロモーター領域のDNAチップ,さらにmicro RNAを解析するためのDNAチップが開発されており,今後さらにその応用研究は広がって行くものと思われる2).ここでは話を分散させないために,主として本来の「cDNAの発現解析」に話題を絞って解説する.
参考文献
1) 野島博:ゲノム工学の基礎,東京化学同人,2002
2) 野島博:先端バイオ用語集,羊土社,2002
3) Schena M, Shalon D, Davis RD, et al:Quantitative monitoring of gene expression patterns with a complementary DNA microarray. Science 270:467-470, 1995
4) 野島博(編):DNAチップとリアルタイムPCR,講談社,2006
5) Dafforn A, Chen P, Deng G, et al:Linear mRNA amplification from as little as 5ng total RNA for global gene expression analysis. Biotechniques 37:854-857, 2004
6) Kurimoto K, Yabuta Y, Ohinata Y, et al:An improved single-cell cDNA amplification method for efficient high-density oligonucleotide microarray analysis. Nucleic Acids Res 34:e42, 2006
7) 野島博:DNA診断とRNA診断.応用物理 74:1371-1378, 2005
8) Fujii T, Tamura K, Masai K, et al:Use of stepwise subtraction to comprehensively isolate mouse genes whose transcription is upregulated during spermiogenesis. EMBO Rep 3:367-372, 2002
9) 野島博:ポストゲノムの切り札となる段階的サブトラクション法.実験医学 20:1142-1144, 2002
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