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今月の主題 臨床検査史―国際的な流れとわが国の動向 巻頭言
臨床化学(臨床検査)の歴史と医療
著者: 濱﨑直孝1
所属機関: 1長崎国際大学薬学部
ページ範囲:P.1605 - P.1605
文献購入ページに移動さらに,生命現象を化学的に解明し,疾病の診断や治療へ利用しようという“臨床化学(臨床検査)の考え”が医療界に定着するきっかけになったのは,オスロの病院の小さな検査室の医師であったフェリング(Ivar Asbjorn Folling, 1888-1973)によるフェニルケトン尿症の発見である,と筆者は考えている.知恵遅れ,発育不全の姉弟の尿の分析から,フェニルアラニン代謝異常が病因であることを明確にし,その対策(対症療法)まで提示できたことで,臨床化学(臨床検査)の威力を当時の世間や医学会に見せつけた.このことが契機になり,ヨーロッパで病院検査部が定着し,以後,その流れが世界的に広まったわけである.まだ,100年余の歴史しかないが,今日では,臨床化学(臨床検査)の発展とゲノムプロジェクトの成功で,テーラメード医療が話題になるまでになってきた.phenotype(臨床検査データ)とgenotype(遺伝子解析)の組み合わせで,医療の形態が劇的に変わる兆しを感じさせられるような時代になっている.今月の主題は,このような臨床化学(臨床検査)のそれぞれの先達から,それぞれの領域について日本における状況を含めて纏めていただいた.
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