臨床検査50巻13号

2006年12月発行

今月の主題 臨床検査史―国際的な流れとわが国の動向 各論

尿・一般検査

著者： 伊藤機一¹

所属機関： ¹大東文化大学スポーツ・健康科学部 健康科学科

ページ範囲：P.1681 - P.1690

　尿や便の臨床検査を代表とする“一般検査”は世界最古の臨床検査である．先達の築き上げたこれらを試料とする臨床検査は，錬金術に端を発する化学分析(重量法，比色法，酵素法，免疫法などへと展開)，顕微鏡の発明による形態学的検査，そして自動分析(微量化・小型化，IT対応)といった科学技術の著しい進歩により正確度，精密度の高い検査結果をどこでも誰でもいつでも迅速に得られるようになった．本稿では幅広い“一般検査”の中で，POCTの代表でもある尿検査と，最近検体数が増加傾向にある糞便検査，脳脊髄液(髄液)検査，関節液検査，精液検査などにつき，最近の歴史的展開を述べる．〔臨床検査　50：1681-1690，2006〕

参考文献

　１) 伊藤機一，石渡仁深，藤本美智子：尿中化学物質の検査．Medical Technology　33(臨時増刊)：1523-1541, 2005

　２) 稲垣清剛：ポケットマニュアル穿刺液細胞，医歯薬出版，2002

　３) 大田喜孝，他：髄液検査法，日臨技一般検査研究班，2002

　４) 日本泌尿器科学会精液検査標準化ガイドライン作成ワーキンググループ編：精液検査標準化ガイドライン，金原出版，2000

　５) 伊藤機一：尿検査実施数の推移．臨床病理レビュー特集第125号「尿検査教本2003-2004」，2003

　６) 小酒井望，林康之，馬場茂明，他：検査法の変遷，診療新社，1982

　７) 伊藤機一：尿検査の歴史と変遷．医学検査　43：1670-1675, 1994

　８) 斉藤博：「ヒポクラテス全集」における尿に関する記述について．日本泌尿器科学会誌　97：10-19, 2006

　９) 伊藤機一，富野康日己：症例から学ぶ尿検査の見方・考え方(3版)，医歯薬出版，1996

　10) JCCLS：JCCLS尿試験紙検査法提案指針，日本臨床検査標準協議会誌　19：53-65, 2004

　11) Ito K, et al：Roport of the Urinalysis Testing Standards Committee, Sysmex J. Int, Vol16 Suppl. 1/No2, 2006

　12) 血尿診断ガイドライン検討委員会編：血尿診断ガイドライン，2006

　13) NCCLS：Urinalysis and Collection, Transportation, and Preservation of Urine Specimens. Approved Guideline. NCCLS Document GP16-A, 2001

　14) Kouri T, et al：European Urinalysis Guidelines. Scand J Clin Lab Invest　231(Suppl)：1-86, 2000

　15) 飯野靖彦：検尿の勧め委員会発足について．臨床病理レビュー特集第125号「尿検査教本2003-2004」，2003

　16) 稲垣勇夫，伊藤機一：尿沈渣検査の歩み．臨床病理レビュー特集第125号「尿検査教本2003-2004」，2003

　17) 河田幸道：UTI薬効評価基準第4版暫定案制定の経緯と問題点，第17回尿路感染症研究会発表要旨，2006

　18) 椎貝達夫：透析なしの腎臓病治療，講談社，2005

　19) 日本糖尿病学会・日本腎臓学会編：糖尿病性腎症合同委員会．糖尿病　48：757-759, 2005

　20) 折田義正：腎機能(GFR)尿蛋白測定ガイドライン，東京医学社，2003

　21) 猪狩淳，岡田淳，伊藤機一，他：最新検査・画像診断検査，医学通信社，2006

　22) 芝紀代子：妊娠検査薬．新・カラーアトラス尿検査，医歯薬出版，2004

　23) 伊藤機一，Timo K, Cong Y，他：各国尿検査標準化の実情．臨床病理レビュー特集125号「尿検査教本2003-2004」，2003

　24) 伊藤機一：CAPサーベイにおける尿沈渣の回答の参加　全体施設と日本参加施設との相違．臨床病理　44：281-285, 1996

　25) 石渡仁深，伊藤機一，三浦溥太郎，他：横須賀共済病院における生体試料からのアスベスト小体およびアスベスト繊維の光学顕微鏡下算定について．機器・試薬　29：181-194, 2006

　26) 芝紀代子，芝よう彦：予防医学における唾液成分検査．機器・試薬　29：412-415, 2006

　27) 伊藤機一：尿沈渣検査-過去・現在・未来．Sysmex Journal　19：1-11, 1996

　28) McPherson RA, Pincus MR：Henry's Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods, 21st ed, Saunders, 2007