文献詳細
文献概要
今月の主題 花粉症克服への展望 話題
花粉対策用のグッズ
著者: 榎本雅夫1
所属機関: 1日本赤十字和歌山医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.209 - P.213
文献購入ページに移動1.はじめに
花粉を吸入することで,アレルギー体質の人ではその花粉に特異的なIgE抗体が産生され,鼻の粘膜などにある肥満細胞上に固着する.このような状態を感作が成立したという.再度,同じ花粉抗原が入ってくると,肥満細胞上の特異的IgE抗体と反応し,肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が遊離され,くしゃみ,水性鼻汁,鼻閉などの花粉症症状が出現する.花粉症の発症には,このように特異的IgE抗体とアレルゲンである花粉が反応することが重要である.
花粉アレルゲンの除去・回避などのセルフケアは,メディカルケアに比べややもすれば軽視されがちだが,感作成立の予防(一次予防)と発症の予防(二次予防)の2つの面から究極の花粉症対策である.
スギ花粉症に対する花粉の回避の重要性が,鼻アレルギー診療ガイドライン1)に,①花粉情報に注意する,②飛散の多いときの外出は控える,③花粉の多いときは窓,戸を閉めておく,④飛散の多いときは外出時にマスク,メガネを使う,⑤表面がけばけばした毛織物などのコートの使用は避ける,⑥帰宅時,衣服や髪をよく払い入室する.洗顔,うがいをし,鼻をかむ,⑦掃除を励行する,などが記載されている.これらの手段をとることで,症状の発現時期を遅くさせたり,軽減させることが可能である.このようなセルフケアを補助するため様々なグッズが市場に供されている.しかし,それらの製品の有効性は十分に実証されているとはいえないものも多く含まれている.日本では約60種の花粉症が報告されているが,スギ花粉症の有病率は約16.2%とされ,非常に多い花粉症であるので,ここではスギ花粉対策用グッズの紹介と得られているエビデンスなどを報告したいと考えている.
花粉を吸入することで,アレルギー体質の人ではその花粉に特異的なIgE抗体が産生され,鼻の粘膜などにある肥満細胞上に固着する.このような状態を感作が成立したという.再度,同じ花粉抗原が入ってくると,肥満細胞上の特異的IgE抗体と反応し,肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が遊離され,くしゃみ,水性鼻汁,鼻閉などの花粉症症状が出現する.花粉症の発症には,このように特異的IgE抗体とアレルゲンである花粉が反応することが重要である.
花粉アレルゲンの除去・回避などのセルフケアは,メディカルケアに比べややもすれば軽視されがちだが,感作成立の予防(一次予防)と発症の予防(二次予防)の2つの面から究極の花粉症対策である.
スギ花粉症に対する花粉の回避の重要性が,鼻アレルギー診療ガイドライン1)に,①花粉情報に注意する,②飛散の多いときの外出は控える,③花粉の多いときは窓,戸を閉めておく,④飛散の多いときは外出時にマスク,メガネを使う,⑤表面がけばけばした毛織物などのコートの使用は避ける,⑥帰宅時,衣服や髪をよく払い入室する.洗顔,うがいをし,鼻をかむ,⑦掃除を励行する,などが記載されている.これらの手段をとることで,症状の発現時期を遅くさせたり,軽減させることが可能である.このようなセルフケアを補助するため様々なグッズが市場に供されている.しかし,それらの製品の有効性は十分に実証されているとはいえないものも多く含まれている.日本では約60種の花粉症が報告されているが,スギ花粉症の有病率は約16.2%とされ,非常に多い花粉症であるので,ここではスギ花粉対策用グッズの紹介と得られているエビデンスなどを報告したいと考えている.
参考文献
1) 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン,通年性鼻炎と花粉症(改訂第4版),ライフ・サイエンス,p34, 2005
2) 榎本雅夫:花粉グッズの選び方・使い方.小児科 44:1427-1433, 2003
3) 榎本雅夫:スギ花粉回避のためのセルフケアとその評価.アレルギー科 3:218-224, 1999
4) 榎本雅夫,福井次矢,藤村聡:花粉症診療の質を高める―内科医への20の診療ナビゲーション,医学書院,2000
5) 雑賀寿和:アレルギー性結膜炎に対する防御メガネの予防効果の研究,平成5年度厚生省アレルギー総合研究事業研究報告書,pp179-180, 1994
6) 雑賀寿和:花粉症による結膜アレルギーの最近治療法.アレルギーの臨床 15:180-183, 1995
7) 大久保公裕,奥田稔:花粉防御器具の有用性.医薬ジャーナル 37:493-497, 2001
8) 奥田稔,三浦逸子,坂本美世子:スギ花粉症においてマスク・メガネは有用か.アレルギーの領域 5:196-198, 1998
9) 井手武:医療研究のためのスギ花粉飛散装置の開発.環境技術 32:201-205, 2003
10) 榎本雅夫,井手武,荻野敏:花粉曝露室の開発および塩酸セチリジンのスギ花粉症症状抑制効果の検討.Progress in Medicine 25:3141-3149, 2005
11) Enomoto T, Onishi S, Sogo S, et al:Japanese cedar pollen in floating indoor house dust after a pollinating season. Allergol Int 53:279-285, 2004
12) 榎本雅夫:花粉症のセルケアについて教えて下さい.Q&Aでわかるアレルギー疾患 1:256-258, 2005
13) 木村統治:一般用医薬品および花粉症グッズの動向.アレルギーの臨床 21:183-188, 2001
14) 山内俊幸,須田洋,宮田隆弘,他:静電霧化装置の空気清浄機への応用~室内ダニ抗原への実用的評価.アレルギー(抄) 54:1011, 2005
15) 渡辺健介:鼻洗とその効果(抄).耳鼻と臨床 29:416-418, 1983
16) 荻野敏,馬場謙治,入船盛弘,他:鼻過敏症に対する鼻局所温熱療法(スカイナースチーム)の臨床的検討.耳鼻 41:816-824, 1995
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