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文献詳細

雑誌文献

臨床検査50巻4号

2006年04月発行

文献概要

今月の主題 検査室におけるインシデント・アクシデント 各論

血液検査・化学検査・免疫検査などにおけるインシデント・アクシデント

著者: 山本慶和1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部

ページ範囲:P.433 - P.441

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今日の診療現場ではその日の検査データに基づく診療が定着しつつあり,検査データの迅速性,正確性の要望は高まっている.診療は一人ひとり個別であり,検査データを提供する側はその一人ひとりのデータについて迅速性をもって正確性と信頼性を保証することは容易ではない.インシデント報告は犯人探しではなく,インシデント事例情報を共有し,事故の防止策を講じ,事故を減少させることが基本的姿勢である.また,直接患者と接する場面では検査室の信頼性および患者の安全・安心を配慮した対応が必要である.検査過誤を未然に防止するための個別データ保証の管理方法には極端値チェック,項目間相関性チェック,デルタチェック,CDCチェックなどがある.血小板の異常値の検出に前回値チェック方法を用い極異常値速報する応用例が示すごとく,個別データ保証の管理は過誤の検出と病態異常の検出と表裏の関係にあることを示した.異常値の疑いが生じた時には臨床に連絡を取って確認し合える信頼関係を築くことが,臨床検査技師に求められている.〔臨床検査50:433-441,2006〕

参考文献

1) 押田茂實:リスクマネジメント-臨床検査における医療過誤.日臨検自動化会誌 27:8-11, 2002
2) 星野敬子:看護職が期待する臨床検査室との連携.日臨検自動化会誌 28:99-101, 2003
3) 細萱茂美:個別データの管理と統計手法 検査過誤防止への統計学的アプローチ.検査と技術 28:1169-1172, 2000
4) 飯塚悦功:臨床化学検査室における検体取違い検出法の改良.応用統計学 10:93-102, 1981
5) 菅野剛史:個別データの管理システム.臨床病理 特集38号:38-46, 1979
6) 山本慶和:CDC法に代わる検体取違い検出方法の試み.臨床病理 52:500, 2005
7) 千葉正志:出現実績ゾーン法を用いた検査結果検証方式とその有用性.日臨検自動化会誌 22:151-156, 1997
8) 斉藤順一:外注検査項目個別精度管理の一手法.医学検査 53:228-233, 2004
9) 日本臨床検査自動化学会:患者データを用いるQAマニュアル,日臨検自動化会誌 28:16-227, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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