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文献詳細

雑誌文献

臨床検査50巻4号

2006年04月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・3 主として院内感染で問題となる耐性菌・2

緑膿菌(基礎編)―その耐性機構からMDRPに対する抗菌薬療法まで

著者: 舘田一博1

所属機関: 1東邦大学医学部微生物・感染症学講座

ページ範囲:P.464 - P.467

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はじめに

 緑膿菌は,ブドウ糖非醗酵のグラム陰性桿菌であり,ヒトに対しては主に日和見感染症としてその病原性を発揮する.本菌はもともと広く抗菌薬に対して耐性を示すことから,その抗菌薬療法はしばしば困難となる.重症の緑膿菌感染症に対してはカルバペネム薬,第三・第四世代セフェム系薬,ニューキノロン薬,アミノグリコシド薬,およびこれらの併用療法が行われてきた.ところが最近になって,これら抗菌薬すべてに耐性を示す,いわゆる多剤耐性緑膿菌(multiple drug resistant P. aeruginosa;MDRP)が出現し問題となっている.2004~2005年にかけて大学病院で続けざまにMDRP感染症のアウトブレイクが報告されたことは記憶に新しい.ここでは話題の耐性菌として緑膿菌を取り上げ,その抗菌薬耐性機構について解説するとともに,本菌に対する効果的な抗菌薬療法について概説する.

緑膿菌の抗菌薬耐性機構

参考文献

1) 舘田一博,石井良和:多剤耐性菌:どのようにして生まれ,拡がり,そして病原性を発揮するのか.日内会誌 92:2095-2103, 2003
2) Senda K, Arakawa Y, Nakashima K et al:Multifocal outbreaks of metallo-beta-lactamase-producing Pseudomonas aeruginosa resistant to broad-spectrum beta-lactams, including carbapenems. Antimicrob Agents Chemother 40:349-353, 1996
3) 後藤直正:細菌のマルチコンポーネント型RND異物排出システム群の機能.蛋白質核酸酵素 50:6-12, 2005
4) Masuda N, Sakagawa E, Ohya S, et al:Substrate specificities of MexAB-OprM, MexCD-OprJ, and MexXY-oprM efflux pumps in Pseudomonas aeruginosa. Antimicrob Agents Chemother 44:3322-3327, 2000
5) 荒川宜親:IDWR感染症の話 多剤耐性緑膿菌(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02 g1/k02 17/k02 17.html)
6) Tateda K, Ishii Y, Matsumoto T, et al:“Break-Point Checkerboard Plate” for Screening of Appropriate Antibiotic Combinations against Multi-Drug Resistant Pseudomonas aeruginosa. Scand J Infect Dis 38:268-272, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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