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文献詳細

雑誌文献

臨床検査50巻4号

2006年04月発行

文献概要

今月の表紙 細胞診:感染と細胞所見・4

トリコモナス

著者: 住石歩1 海野みちる1 坂本穆彦1

所属機関: 1杏林大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.360 - P.362

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トリコモナス目は原生生物(原虫類)動物鞭毛虫網に属し多数の属と種が含まれるが,人に寄生するのは4種で,代表的なものに腟トリコモナスがある.この虫体は長径7~23μm,短径6~12μmの楕円形で5本の鞭毛を有する.4本は遊離鞭毛として前方に伸び,他の1本は体中央部まで後方に伸び,体表との間に波動膜を形成している.体内には楕円形の核を1個有するが,ミトコンドリアはもたない.体前端から縦に走る軸索は後端から突出し,虫体は縦2分裂で増殖する.囊子(cyst)は作らず,栄養型のみが存在する1)

 ここでは腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)について述べる.トリコモナスは世界中にみられる感染症で,わが国では女性の数%に感染がみられる.男性は感染した女性からのみ感染する点が,他の性感染症(sexually transmitted disease;STD)との違いである.

参考文献

1) 上村清,平井和光,井関基弘,他:寄生虫学テキスト2,文光堂,pp56-57,2003
2) 鈴木了司:寄生虫の世界,日本放送出版協会,pp29-45,1996
3) 水口國雄:必携細胞診カラー図鑑,医歯薬出版,pp10,68,100,132,163,195,208,215,222,229,2005
4) 坂本穆彦:細胞診を学ぶ人のために 第4版,医学書院,pp126,141,225,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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