文献詳細
今月の主題 ホルマリン固定パラフィン包埋標本からどこまで遺伝子検索は可能か?
巻頭言
ホルマリン固定パラフィン包埋標本からどこまで遺伝子検索は可能か?
著者: 笹野公伸1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科医科学専攻病理病態学講座病理診断学分野
ページ範囲:P.713 - P.714
文献概要
病理診断に従事する者にとっては迅速診断や細胞診などの場合を除くと10%ホルマリン固定パラフィン包埋標本が検査対象のほとんどを占めている.加えて今後ますますその重要性が増してくると考えられるtranslational researchの領域においてもこのことは大きなimpactを有している.すなわち悪性腫瘍の症例などに関してはたとえ分子生物学,細胞生物学的な成果は報告はされていても,従来多くの患者の新鮮凍結標本などの検体が入手困難であったことから予後などの臨床病理学的な因子との関連性をretrospectiveに得るのが困難であり,せっかくの基礎的な知見も十分に患者に還元するのが困難な状況が続いてきたのは否めない.しかし10%ホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いることによりこの点がかなり克服される可能性が出てきている.このことは今後癌の領域などのtranslational researchでより多くの10%ホルマリン固定パラフィン包埋標本が研究対象になろうとしていることも示している.
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