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文献詳細

雑誌文献

臨床検査50巻7号

2006年07月発行

文献概要

今月の主題 ホルマリン固定パラフィン包埋標本からどこまで遺伝子検索は可能か? 各論

乳癌におけるHER-2遺伝子異常のFISH解析―有用性と注意点,免疫組織化学との比較

著者: 大塚由希子1 津田均1

所属機関: 1防衛医科大学校病態病理学講座(旧 病理学第二講座)

ページ範囲:P.753 - P.760

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 乳癌治療の分野において,癌遺伝子HER-2を標的とした抗癌剤トラスツズマブ(商品名ハーセプチン(R))の有効性が証明され,転移性乳癌のみならず手術可能な原発性乳癌の術前術後補助療法にも適応が拡大されつつある.トラスツズマブ治療適応決定のためには,免疫組織化学(immunohistochemistry;IHC)法によるHER-2蛋白の過剰発現または蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法によるHER-2遺伝子の増幅を検査で確認することが不可欠である.多くの場合まず,IHC検査を行い,スコア3+を適応あり,スコア0,1+を適応なしとし,スコア2+の場合にFISH法で再検査を行っている.FISH法はコストや時間がかかり,手技もやや複雑であるが,近年のプロトコール研究の結果見直しでは,IHC法と対比してFISH法が再現性の高さ,治療効果との関連において優れていることが報告され,HER-2検査におけるFISH法の重要性は増していると考えられる.本稿では,FISH法の手順と行うに当たっての注意点,IHC法との比較について概説した.〔臨床検査 50:753-760,2006〕

参考文献

 1) 村川哲也,木村幹彦,津田均:HER2病理学的評価について.Mebio Oncology 1:30-34, 2004
 2) Slamon DJ, Leyland-Jones B, Shak S, et al:Use of chemotherapy plus a monoclonal antibody against HER2 for metastatic breast cancer that overexpresses HER2. N Engl J Med 344:783-792, 2001
 3) 津田均,木村幹彦:免疫組織化学・FISH法の分子標的治療への応用.組織細胞化学2003 (日本組織細胞化学会編),学際企画,pp219-227, 2003
 4) 佐々木由佳,津田均:乳癌と分子標的.病理と臨床24:625-633,2006
 5) Goldhirsch A, Glick JH, Gelber RD, et al:Meeting highlights:international expert consensus on the primary therapy of early breast cancer 2005. Ann Oncol 16:1569-1583, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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