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今月の主題 ホルマリン固定パラフィン包埋標本からどこまで遺伝子検索は可能か? 話題
病理組織検体を用いた遺伝子検索における自動染色機器の有効性と問題点
著者: 鈴木貴1 笹野公伸2
所属機関: 1東北大学医学部保健学科検査技術科学専攻病理検査学分野 2東北大学大学院医学系研究科医科学専攻病理学講座病理診断学分野
ページ範囲:P.789 - P.792
文献購入ページに移動病理組織検体を用いて細胞特異的な遺伝子発現状態を検討することは病因や病態を詳細に理解するうえで必須である.これらは染色体やDNA,転写産物としてのmRNA,最終産物である蛋白質など種々のレベルでの異常が原因となる.分子生物学的手法によっても検索可能であるが,多彩な細胞によって構成される組織を一塊として解析するのでは不十分であり,細胞局在を踏まえて解析することが重要となる.一般にDNAやmRNAの組織内局在はin situ hybridization法によって検討され,特定の蛋白発現は免疫組織化学による解析が用いられる.
病理組織学的検査における免疫組織化学の重要性は改めて述べるまでもないが,例えば乳癌におけるHER2遺伝子増幅をFISH(fluorescent in situ hybridization)で解析することが医療保険で認められるようになるなど,in situ hybridizationに関しても臨床検査の現場で用いられるようになってきている.しかしin situ hybridizationや免疫染色は比較的熟練を要する手技であり,施行者の技術や経験によって結果が左右されることになりかねない1,2).このため再現性や標準化のさらなる向上が望まれる.そのためには良好な組織標本の作製や,プローブや一次抗体の適切な選択とともに,染色過程を正確に実行することが重要となる.近年の目覚ましいコンピュター技術の進歩により,染色過程を機械的に厳密に制御することが可能となり,in situ hybridizationや免疫組織化学の自動化が現実のものとなってきた.そこで本稿ではこれらに関する自動化および半自動化機器の現状を紹介し,その有効性と問題点とについて概説する.
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