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文献詳細

雑誌文献

臨床検査50巻7号

2006年07月発行

文献概要

今月の表紙 細胞診:感染と細胞所見・7

Pneumocystis jirovecii(ニューモシスチス・ジロヴェッチ)/Pneumocystis carinii(ニューモシスチス・カリニ)

著者: 籏ひろみ1 海野みちる2 坂本穆彦2

所属機関: 1杏林大学病院病院病理部 2杏林大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.710 - P.712

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 真菌に近い微生物Pneumocystis carinii(P. carinii)は2001年の国際会議において真菌と分類されること,名称もラット由来(原型)をPneumocystis cariniiとして残し,ヒト由来のものはPneumocystis jiroveciiと改めることが提唱された1).なおjiroveciiはチェコの寄生虫学者にちなんで命名された.本稿では旧名のP. cariniiではなくPneumocystis jirovecii(P. jirovecii)を用いる.

 間質性肺炎を起こす主な病原体として知られているP. jiroveciiは,正常では不顕性であるが,免疫不全状態に宿主が陥ると増殖,活性化して致命率の高いびまん性間質肺炎を発症させる典型的な日和見病原体として有名である2,3).免疫不全状態の原因としては,自己免疫疾患,臓器移植時の免疫抑制剤の大量投与,癌,白血病,悪性リンパ腫などの種々の悪性腫瘍に対する抗癌剤,抗生剤,免疫抑制剤の大量投与,後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者,などが挙げられる.特にAIDSでは,患者の半数以上がP. jiroveciiを併発しているといわれている4)

参考文献

 1) Stringer JR, Beard CB, Miller RF, et al:A new name (Pneumocystis jiroveci) for Pneumocystis from humans. Emer Infect Dis 8:891-896, 2002
 2) 堤ゆたか:感染症病理アトラス,文光堂,pp224-226, 2000
 3) 増田剛太:ニューモシスチス・カリニ感染症.新臨床内科学(高久史麿,尾形悦郎,黒川清,地盤),医学書院,pp1817-1818, 2002
 4) 吉田幸雄:図説人体寄生虫学,南山堂,pp72-82, 2002
 5) 山口英世:病原真菌と真菌症,改訂3版,南山堂,pp185-186, 2005
 6) 吉田幸雄:ニューモシスチス・カリニ.臨床寄生虫学,改訂4版(大鶴正満編),南江堂,pp87-92, 1994
 7) 森山佐知子,船田信顕:AIDSに合併する主な日和見感染症.病理と臨床 21(臨時増刊):145-146, 2003
 8) 安岡彰,岡慎一:カリニ肺炎.肺感染症(河野茂,永井厚志,大田健編),メジカルビュー,pp123-129, 2002
 9) 坂本穆彦:細胞診を学ぶ人のために,改訂4版,医学書院,p178, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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