文献詳細
文献概要
今月の主題 皮膚科と臨床検査 話題
センチネルリンパ節生検
著者: 師井洋一1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院 皮膚科学分野
ページ範囲:P.912 - P.915
文献購入ページに移動1.悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検
ここ10数年間における腫瘍免疫学の進歩により,様々な治療法が提案され実践されてきたが,悪性黒色腫はいまだ予後不良の悪性新生物である.その予後不良因子として挙げられるのが再発・転移率の高さであり,その転移率に大きく影響しているのが,リンパ節郭清の是非であると考えられる.これまで比較的浸潤の浅い悪性黒色腫で所属リンパ節の腫大が臨床的に認められない場合,リンパ節郭清の施行にははっきりとした基準がなく,担当医の判断に任されてきた.一方,原発巣から所属リンパ節へ向かうリンパ流は,必ず1個から数個までのリンパ節(センチネルリンパ節)に到達し,その後他のリンパ節(所属リンパ節内)に流れていくというセンチネルリンパ節の考えが明らかとなった(図1)1).
近年,このセンチネルリンパ節の概念が広く支持されるにいたって,早期悪性黒色腫の治療は,原発巣の拡大切除とともにセンチネルリンパ節を生検し,そのリンパ節に転移が認められた場合にのみ,リンパ節郭清を行うことがわが国でも一般的になった.しかしながら,センチネルリンパ節内に転移があるかどうかは,同リンパ節の多数の連続切片を作製し,通常のHE染色に加えて様々な免疫染色を施行しなければ微小転移を発見することは困難である.
ここ10数年間における腫瘍免疫学の進歩により,様々な治療法が提案され実践されてきたが,悪性黒色腫はいまだ予後不良の悪性新生物である.その予後不良因子として挙げられるのが再発・転移率の高さであり,その転移率に大きく影響しているのが,リンパ節郭清の是非であると考えられる.これまで比較的浸潤の浅い悪性黒色腫で所属リンパ節の腫大が臨床的に認められない場合,リンパ節郭清の施行にははっきりとした基準がなく,担当医の判断に任されてきた.一方,原発巣から所属リンパ節へ向かうリンパ流は,必ず1個から数個までのリンパ節(センチネルリンパ節)に到達し,その後他のリンパ節(所属リンパ節内)に流れていくというセンチネルリンパ節の考えが明らかとなった(図1)1).
近年,このセンチネルリンパ節の概念が広く支持されるにいたって,早期悪性黒色腫の治療は,原発巣の拡大切除とともにセンチネルリンパ節を生検し,そのリンパ節に転移が認められた場合にのみ,リンパ節郭清を行うことがわが国でも一般的になった.しかしながら,センチネルリンパ節内に転移があるかどうかは,同リンパ節の多数の連続切片を作製し,通常のHE染色に加えて様々な免疫染色を施行しなければ微小転移を発見することは困難である.
参考文献
1) Morton DL, Wen DR, Wong JH, et al:Technical details of intraoperative lymphatic mapping for early stage melanoma. Arch Surg 127:392-399, 1992
2) 師井洋一,小幡千景,藤田尚平,他:メラノーマ患者におけるRT-PCR法を用いたセンチネルリンパ節微小転移発見の試み.西日本皮膚 64:211-217, 2002
3) Kelemen PR, Wanek LA, Morton DL, et al:Lymph Node Biopsy Does Not Impair Survival After Therapeutic Dissection For Palpable Melanoma Metastases. Ann Surg Oncol 6:139-143, 1999
4) Gershenwald JE, Colome MI, Lee JE, et al:Patterns of recurrence following a negative sentinel lymph node biopsy in 243 patients with stage I or II melanoma. J Clin Oncol 16:2253-2260, 1998
5) 野呂佐知子,山本明史,山崎直也,他:悪性黒色腫のsentinel node biopsy及び病理組織学的検討.日皮会誌 114:15-24, 2004
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