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シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・7 主として市中感染で問題となる耐性菌・1
肺炎マイコプラズマ(基礎編)
著者: 成田光生1
所属機関: 1札幌鉄道病院小児科
ページ範囲:P.923 - P.926
文献購入ページに移動肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae,以下単にマイコプラズマ)の薬剤耐性菌に関しては,現在野生でその存在が証明されているのは23Sリボソーム(r)RNAの点突然変異を耐性機構とするマクロライド-リンコサミド耐性のみである.またマイコプラズマのリボソームにはオペロンが1つしか存在しない.したがってマイコプラズマにおいては,その遺伝子型(genotype)と表現型(phenotype)がよく一致することが興味深い点である.本稿では,実際の臨床分離株における薬剤感受性試験の結果と遺伝子変異の検索結果を基に,薬剤耐性マイコプラズマの生物学的特徴を解説する.なお具体的な実験方法などについては別に報告があるので,詳細は略する1~5).
マイコプラズマ野生株の分離は通常の滅菌綿棒にて患者の咽頭あるいは扁桃粘膜を擦過し,自家製のPPLO(Pleuro-Pneumonia-Like Organism)培地を用いて行った.薬剤感受性試験は,神奈川県衛生研究所にて微量液体培地希釈法(マイクロプレート法)を用いて行った.23Sr RNAドメインⅤにおける遺伝子変異の検索は,国立感染症研究所にてnested PCR法と直接塩基配列決定法を用いて行った.また,小児気道感染患者喀痰から抽出されたDNAを用いて,retrospectiveに耐性遺伝子変異を有するマイコプラズマの存在も検索した.前述のごとく,マイコプラズマにはリボソームのオペロンは1つしか存在せず,したがってリボソーム遺伝子に耐性変異を有する菌はそのまま耐性菌であると考えて良い.
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