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文献詳細

雑誌文献

臨床検査50巻8号

2006年08月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・7 主として市中感染で問題となる耐性菌・1

肺炎マイコプラズマ(臨床編)

著者: 成田光生1

所属機関: 1札幌鉄道病院小児科

ページ範囲:P.927 - P.931

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はじめに

 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae,以下単にマイコプラズマ)の薬剤耐性菌に関しては,現在野生でその存在が証明されているのは23SリボソームRNAの点突然変異を耐性機構とするマクロライド-リンコサミド耐性のみである.そしてマイコプラズマにおいてはその遺伝子型(genotype),すなわち耐性遺伝子変異と表現型(phenotype)すなわち薬剤感受性がよく一致することは,本誌別稿(基礎編)にて述べた.これとは対照的に臨床面では,耐性菌感染による肺炎の経過がとりわけ重症化する傾向は認められていない.本稿では,耐性菌感染の臨床経過を解説するとともに,マクロライド剤の治療効果について考察を加える.なお具体的な解析方法などについては別に報告があるので,詳細は略する1~6)

参考文献

 1) Okazaki N, Narita M, Yamada S, et al:Characteristics of macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae strains isolated from patients and induced with erythromycin in vitro. Microbiol Immunol 45:617-620, 2001
 2) Matsuoka M, Narita M, Okazaki N, et al:Characterization and molecular analysis of macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae clinical isolates obtained in Japan. Antimicrob Agents Chemother 48:4624-4630, 2004
 3) Suzuki S, Yamazaki T, Narita M, et al:Clinical evaluation of macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae. Antimicrob Agents Chemother 50:709-712, 2006
 4) 成田光生:マクロライド耐性肺炎マイコプラズマの性状と,その臨床における問題点.「百日咳菌,ジフテリア菌,マイコプラズマ等の臨床分離菌の収集と分子疫学的解析に関する研究」厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)平成16年度総括・分担研究報告書,pp55-63, 2005
 5) 成田光生:肺炎マイコプラズマ菌のマクロライド耐性化が臨床に及ぼす影響と問題点.「百日咳菌,ジフテリア菌,マイコプラズマ等の臨床分離菌の収集と分子疫学的解析に関する研究」厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)平成17年度総括・分担研究報告書,pp59-65, 2006
 6) 成田光生:薬剤耐性マイコプラズマは普通に野生に存在する.-臨床と分離株の性状とのdiscrepancyはなにを意味するか.医学のあゆみ 209:545-549, 2004
 7) 田中裕士,成田光生,高橋弘毅:マイコプラズマの病原因子と炎症.最新医学 61:230-237, 2006
 8) Yang J, Hooper WC, Phillips DJ, et al:Cytokines in Mycoplasma pneumoniae infections. Cytokine Growth Factor Rev 15:157-168, 2004
 9) Labro MT:Anti-inflammatory activity of macrolides:a new therapeutic potential? J Antimicrobial Chemother 41 (Suppl. B):37-46, 1998
 10) Takizawa H, Desaki M, Ohtoshi T, et al:Erythromycin modulates IL-8 expression in normal and inflamed human bronchial epithelial cells. Am J Respir Crit Care Med 156:266-271, 1997
 11) 田口晴彦,蔵田訓,満足滝,他:マクロライド耐性Mycoplasma pneumoniaeノートバイオートにおける抗マイコプラズマ薬の効果.第80回日本感染症学会総会,東京,2006年4月

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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