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文献概要

編集者への手紙

ALT優位の血清アミノトランスフェラーゼの肝外組織由来の可能性

著者: 小林正嗣1 木村隆1

所属機関: 1(財)近畿健康管理センター

ページ範囲:P.112 - P.115

1.はじめに

 成人男性において血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase;AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase;ALT)の軽度上昇例の頻度が高いことについて,筆者は先に,脂質代謝関連蛋白,特に中性脂肪水解酵素(triglyceride lipase)の産生に伴うアミノトランスフェラーゼの誘導の亢進(産生の増大)の可能性を推定した1,2).しかし,今日,ヒトの中性脂肪水解酵素については,肝性リパーゼ(hepatic triglyceride lipase;HTGL),リポ蛋白リパーゼ(lipoprotein lipase;LPL)およびホルモン感受性リパーゼ(hormone sensitive lipase;HSL)のほかに,あらたに脂肪組織などにおける脂肪トリグリセライドリパーゼ(adipose triglyceride lipase;ATGL)の存在とそのアミノ酸構成が明らかにされたことから,本稿では,これらの最近の知見に基づき,先の記述1,2)を訂正する.

参考文献

1) 小林正嗣:男性群のALT値に軽度上昇例の頻度が大きいことについての検討―脂質代謝関連蛋白合成との関連.臨床検査 41:715-721,1997
2) 小林正嗣:AST/ALT比が0.87となることの検討.臨床検査 41:1087-1088,1997
3) 小林正嗣,三崎覚,九里重義,他:健康診断受診者群における血清ALT値およびAST値の男女差―男女別基準範囲の検討.臨床検査 38:844-848,1994
4) 三浦裕:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT).日本臨牀 57(増刊):320-325,1999

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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