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転写因子MITFは心臓の成長と肥大を調節する
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.99 - P.99
文献購入ページに移動 MITF(microphthalmia transcription factor)発現の上昇は色素細胞,肥満細胞,破骨細胞を含むいくつかの細胞でみられる.MITFはこれらの細胞に特異的な遺伝子の調節において中心的な役割を担っている.そのmRNAは心臓に比較的高レベルで存在するが,その心臓における役割は調べられていない.著者らはMITFの特異的な心臓isoformが心筋細胞で発現され,β-アドレナリン性刺激により誘導されることを示した.異なるMITFの突然変異を持つ2系統のマウスにおいて,β-アドレナリン性刺激への肥大性応答として心臓重量/体重比は低下した.これらのマウスではβ-アドレナリン性刺激の後に突然死する傾向があった.15月齢のほとんどのMITF突然変異マウスでは,心臓重量/体重比,収縮機能および心拍出量が顕著に低下した.正常マウスに比べMITF突然変異マウスでは,β-アドレナリン性刺激はB-typeナトリウム利尿ペプチドを誘導しなかったが,心房性ナトリウム利尿ペプチドを増加させ,心臓ストレス応答が示唆された.MITFはβ-アドレナリン性誘導の心臓肥大において必須の役割を担っていた.
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