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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻11号

2007年11月発行

文献概要

今月の主題 メタボリックシンドローム健診での注意点 巻頭言

わが国におけるメタボリックシンドローム健診の意義と臨床検査標準化

著者: 濱﨑直孝1

所属機関: 1長崎国際大学薬学部

ページ範囲:P.1157 - P.1158

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 厚生労働省「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会」は2006年(平成18年)5月26日に2008年度(平成20年度)から医療保険者に実施を義務付ける健診・保健指導プログラムをまとめた.40歳から74歳の被保険者に糖尿病などの生活習慣病,とりわけメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防のための健診(特定健診)を義務化する試みである.健診結果の判定基準を策定して,それぞれの基準で保健指導を的確に行い,これらの疾病の予防を目的とするものである.これまでの厚生労働省の姿勢は,ともかく検診を行うという「プロセス重視の保健指導」であったのを,2008年度からは,健診の結果を基に標準化された保健指導を実施し「結果を出す保健指導」へ大きく方針を変換したことを意味している.厚生労働省としては,メタボリックシンドローム特定健診では,その健診結果に基づき,保健指導が必要な人,医療が必要な人,などに階層化を行い,それぞれの階層ごとに保険・医療指導を行うことで,国民の健康維持向上に役立てる方針である.この方針は予防的視点から,健診を基にして保健指導を徹底し,疾病に至る人々を減少させ,医療費削減を目指しているもので,2015年に2兆円の医療費削減が目標であるといわれている.

 この特定健診項目は,問診,身体計測(身長,体重,BMI,腹囲),理学的検査(身体診察),血圧測定,ならびに臨床検査8項目である.臨床検査8項目の内訳は,中性脂肪(TG),HDL-コレステロール,LDL-コレステロール,AST,ALT,γ-GT,空腹時血糖(または,HbA1C),尿検査(蛋白,糖)の8項目であり,計画当初の時点で検査対象とされていたクレアチニン,尿酸の臨床検査2項目は最終案では除外されている.このような健診項目の結果を基に,全国共通の判断基準を策定し保健指導を充実させるのが厚生労働省の狙いである.全国共通の判断基準を策定するためには,健診手順が全国一定の基準に則って行われなければ,全国的な判定基準を策定することは不可能になってくる.その意味で,特定健診実施に当たっての手順を定めることは非常に重要なことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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